« 美術回廊(34) 京都国立博物館 ICOM京都開催記念「京博寄託の名宝-美を守り、美を伝える-」 | トップページ | 美術回廊(35) 京都文化博物館 ICOM京都大会開催記念+京都新聞創刊140年記念「百花繚乱 ニッポン×ビジュツ展」&「京の歴史をつなぐ」展 »

2019年9月15日 (日)

観劇感想精選(317) 松本白鸚主演・演出 ミュージカル「ラ・マンチャの男」2019

2019年9月7日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて観劇

午後6時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、ミュージカル「ラ・マンチャの男」を観る。今回は1969年の日本初演から半世紀が経過したことを記念しての上演である。主演・演出:松本白鸚。脚本:デール・ワッサーマン、作詞:ジョオ・ダリオン、日本語訳:森岩雄&高田蓉子、作曲:ミッチ・リー、振付・演出:エディ・ロール(日本初演)。出演:瀬奈じゅん、駒田一、松原凜子、石鍋多加史、荒井洸子、祖父江進、大塚雅夫、白木美貴子、宮川浩、上條恒彦ほか。
50年に渡って「ラ・マンチャの男」で主役を張ってきた松本白鸚。50年前に演じ始めた時には市川染五郎の名であり、松本幸四郎を経て、松本白鸚の名では初の「ラ・マンチャの男」となる。

前回、「ラ・マンチャの男」を観たのは、丁度10年前の2009年の5月、今はなきシアターBRAVA!に於いてだった。その時、アルドンザを演じていたのは松たか子であり、親子共演であった。
おりしも、5月2日、忌野清志郎が亡くなり、以前に大阪城ホールで清志郎と共演したことのあった松たか子は訃報を聞き、シアターBRAVA!の前で第二寝屋川を挟んで向かいにある大阪城ホールに向かって頭を下げ、清志郎への感謝の祈りを捧げたという。

 

フェスティバルホールの入っているフェスティバルタワー2階には、「ラ・マンチャの男」の写真パネルや公演記録が展示されている。それによると松たか子はまずアントニア役として出演を重ねた後で2002年から2012年までアルドンザを務め、2015年からアルドンザは霧矢大夢に交代。今回からは、瀬奈じゅんがアルドンザを務める。

 

地下牢が舞台であるが、「ドン・キホーテ」が劇中劇として行われ、即興劇という設定なのでセットこそさほど変わらないが、小道具などを用いることで場面は次々に展開されていく。
宗教裁判にかけられたセルバンテス(松本白鸚)は、地下牢の中で判決を待つことになる。その間、牢名主(上條恒彦)に牢内での裁判に問われることになったセルバンテスは、即興劇の形で申し開きを行うことにし、自作の「ドン・キホーテ」を牢内の人々と一緒に演じ始める。騎士の時代が終わってから数百年が経つのに、自身を騎士だと思い込み、遍歴の旅に出るドン・キホーテ(松本白鸚二役)。風車を巨人だと勘違いして突っ込み、城郭だと思い込んで乗り込んだ小さな旅籠で出会った売春婦のアルドンザを思い姫のドルシネアだと思い込んだドン・キホーテは、端から見ると滑稽でしかない騎士遍歴を繰り返す。
滑稽でしかないのだが、ドン・キホーテには信念がある。それはセルバンテスも同じで、二人ともラ・マンチャの男であり、夢の大切さとそれを追うことの重要性を観る者に訴えかける。本来は道化役でしかなかったドン・キホーテが夢を貫くことで人々を鼓舞する英雄に変わるのである。
セルバンテスはラストで、「私もドン・キホーテも、ラ・マンチャの男だ」というセリフがあるのだが、半世紀に渡って二人を演じ続けてきた松本白鸚もまた、見果てぬ夢に生きるラ・マンチャの男なのだろう。

 

フェスティバルホールはオペラ上演を前提としている劇場で、オーケストラピットも当然ながら存在するが、今回は演出の都合上、オーケストラピットではなく、ステージの両袖にミュージシャンが陣取って演奏を行うというスタイルである。音が通りやすいフェスティバルホールであるが、楽器の音が鮮明に聞こえるため、歌が覆い隠されてしまう場面もあった。

セルバンテスとドン・キホーテという二人のラ・マンチャの男は、松本白鸚が千回以上演じている当たり役であり、貫禄の出来映え。他にも10年前からずっと「ラ・マンチャの男」に出続けている俳優が複数おり、今回の新キャストを含めて優れたアンサンブルを見せていた。

Dsc_7309

|

« 美術回廊(34) 京都国立博物館 ICOM京都開催記念「京博寄託の名宝-美を守り、美を伝える-」 | トップページ | 美術回廊(35) 京都文化博物館 ICOM京都大会開催記念+京都新聞創刊140年記念「百花繚乱 ニッポン×ビジュツ展」&「京の歴史をつなぐ」展 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 美術回廊(34) 京都国立博物館 ICOM京都開催記念「京博寄託の名宝-美を守り、美を伝える-」 | トップページ | 美術回廊(35) 京都文化博物館 ICOM京都大会開催記念+京都新聞創刊140年記念「百花繚乱 ニッポン×ビジュツ展」&「京の歴史をつなぐ」展 »