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2019年9月 1日 (日)

コンサートの記(590) ソフィア・ヴォーカルアンサンブル京都公演2019

2019年8月22日 京都府立府民ホールアルティにて

午後7時から、御所の西にある京都府立府民ホールアルティで、ソフィア・ヴォーカルアンサンブルの来日公演を聴く。

ソフィア・ヴォーカルアンサンブルは1995年に指揮のベンクト・オレーンによって創設されたスウェーデンの合唱団。ストックホルムのソフィア教会を本拠地としているということでこの団体名を名乗っており、ブルガリア(首都がソフィア)や上智大学(英語名や愛称がソフィア)とは無関係である。

スウェーデンは合唱で知られており、エリック・エリクソン時代のスウェーデン放送合唱団は、「世界最高の合唱団」という賛辞を受けている。ソフィア・ヴォーカルアンサンブルも2012年に、ヨーロッパ・グランプリで優勝している。
今回が初の来日で、軽井沢国際合唱フェスティバルに参加するためにやって来たのだが、東京、広島、京都でもコンサートを行う。

 

曲目は当日になって変更となっており、前半が、伝承歌「No vi eg till Jondalen og fri」(ベンクト・オレーン編曲)、ヤン・サンドストレムの「山風のヨイク」、ポール・ミュラーの「至福の教え」、松下耕の「神よ喜びたたえよ」、プーランクの「7つのシャンソン」。後半が、ベンクト・オレーンの「海の向こうに人を待つ歌」、マシュー・ピーターソンの「カンターテ・ドミノ」、スヴェン=ダーヴィド・サンドレストの「楽園にて」、ダーヴィド・ヴィカンデルの「谷間のゆり王」、アルヴェーンの「そして娘は踊りの輪に加わった」

比較的良く知られた作曲家は、プーランクとアルヴェーンだけという攻めたプログラムである。マシュー・ピーターソンは、ソフィア・ヴォーカルアンサンブルのテノールメンバーであり、今日もステージで歌っていた。

メンバーの男女一人ずつがステージの前方に歩み出て、挨拶や曲目解説を行う(通訳あり)。最新のアルバムが出たばかりだそうで、その宣伝も何度も行っていた。そのためか、後半始めの挨拶の時点で、完売が見えてきたそうである。

オレーンは、タブレット譜を見ながらのノンタクトでの指揮である。タブレット譜には鍵盤のアプリもついているようで、曲の前に最初の音をピアノの音色で小さく出していた。

 

1曲目の伝承曲「No vi eg till Jondalen og fri」では、メンバーが口笛を吹くなど、声だけでない表現を行っていた。
やはり、体格の違いなのか、歴史がものを言うのか、とにかく声が澄んでおり、時にはうねるような生命力と迫力が宿る。

ベンクト・オレーンの作曲である「海の向こうに人を待つ歌」では、男声歌手達が客席に降り、上手と下手に分かれて壁を背後に並ぶ。彼らが主に歌うのは潮騒である。女性歌手達はステージ上に一人か二人ずつで点在。目の上に手をやって遠くを見るような仕草をしながら歌い、シアトリカルな作品となっていた。

スヴェン=ダーヴィド・サンドレストは、ソフィア・ヴォーカルアンサンブルの良き友人であったが、今年の6月に他界したそうである。「楽園にて」は、来世は楽園であるという内容を歌ったものだそうで、最後は「レクイエム」の言葉で閉じられる。

ダーヴィド・ヴィカンデルの「谷間のゆり王」は、ゆりやスズランといった花を擬人化させて歌ったものだそうである。歌詞の内容についてはわからないが、バルザックの『谷間の百合』とは無関係であると思われる。

北欧の作曲家というと、ノルウェーのグリーグ、フィンランドのシベリウス、デンマークのニールセンが国民的作曲家として知られているが、スウェーデンは残念ながら彼らに匹敵するだけの作曲家は生んでいない。そんな中でもアルヴェーンは比較的名前が知られている作曲家。「そして娘は踊りの輪に加わった」は、三拍子の快活な曲である。

 

アンコールは2曲、いずれも初めて聴く曲で、タイトルはわからないが、2曲目では、メンバーが客席に降り、階段状の通路に立って清澄な声を響かせた。

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