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2019年10月25日 (金)

美術回廊(40) 美術館「えき」KYOTO 「西洋近代美術にみる『神話の世界』」

2019年10月18日 美術館「えき」KYOTOにて

美術館「えき」KYOTOで今日から始まった「西洋近代美術にみる『神話の世界』」展を観る。あべのハルカス美術館でラファエル前派の展覧会が行われているが、それとも関連のある内容である。
神話を題材に描かれた絵や彫刻が並ぶが、それは古典の再発見へと繋がっている。ジョヴァンニ=バッティスタ・ピラネージの「ローマの古代遺跡」の描写に始まり(そのままを描いたものではなく、古代の姿を想像によって復元させている)、「イリアス」や「オデュッセイア」というホメロスの文学、神や桂冠詩人に送られる月桂冠を編む女性の絵(フレデリック・レイトンの作品)、ミュンヘン分離派(ニュンヘン造形美術協会)による国際美術展のポスター(ギリシャの神々が描かれている)、テオドール・シャセリオーの「アポロンとダフネ」、アレクサンドル・カバネルの「狩りの女神ディアナ」(今回の美術展のポスターに採用されている)などの神々の像が並ぶ。ローレンス・アルマ=タルデの「お気に入りの詩人」のように、神々を描いたのではなく神話を読む女性とそれを聞くもう一人の女性を描いた作品もある。ジャン=ジャック・エンネルの「アンドロメダ」は普仏戦争によってドイツ(プロイセン)に割譲されたアルザス地方(現在はフランス領に戻っている。中心都市はストラスブール)を囚われのアンドロメダになぞらえたものだという。

幻想の画家として知られるオディロン・ルドンの「アポロンの二輪馬車」と「ペガサスにのるミューズ」が並んでいる。ルドンの絵は、昔、鎌倉の鶴岡八幡宮境内にあった神奈川県立近代美術館鎌倉(今は鎌倉文華館鶴岡ミュージアムとなっているようである)でのルドン展を観ているが、それとはかなり趣の異なる淡い印象の作品である。

美術館「えき」KYOTOやあべのハルカス美術館で観たことのあるラウル・デュフィの作品は、いかにもデュフィという趣の作品で、原色を用いた愉快な作風である。プーランクの音楽にも通じるようなエスプリ・クルトワに溢れている。

ルノワールやローランサン、ピカソといった有名画家の作品もあるのだが、今回はあまり惹かれず。ピカソは以前にも美術館「えき」KYOTOで同じ趣のエッチングを観ているということもあるだろう。後年自己模倣に陥ったことで知られるジョルジオ・デ・キリコの作品も展示されている。

デ・キリコと出会ってシュールレアリズムの影響を受けたいわれるポール・デルヴォーの「水のニンフ(セイレン)」は不安的な構図に逆に引きつけられる。美しい歌で船を水底へと引きずり込むというセイレンが、美しさと不気味さの絶妙の境で描かれている。ところで左の奥にポツンと一人で立っている男性は何者なのだろう? これも含めて悪夢的な雰囲気の漂う絵となっている。

 

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