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2019年11月13日 (水)

見知らぬ私

見知らぬ私を連れて街に出る。「連れて」と書いたが、主は「見知らぬ私」であって、私自身は従者に過ぎない。
人々が挨拶を交わすのは「見知らぬ私」に向かってであり、私自身の姿は彼らの虹彩を通過することはない。

「俺は誰だ?」
「リア王の影法師さ」

そして「見知らぬ私」は舞台に上がり、百万遍の死を繰り返す。私自身は死を知らないが、生もまた手にしたことはない。
網膜の劇場から私は引いた場所にあって、音の出ないピアノを弾いて見えない大地を彩るだけだ。今日もまた。

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