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2019年11月20日 (水)

コンサートの記(606) 第23回京都の秋音楽祭 「フォーレに捧ぐ――北村朋幹×エール弦楽四重奏団」

2019年11月10日 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタにて

午後2時から、京都コンサートホール アンサンブルホールムラタで、第23回京都の秋音楽祭「フォーレに捧ぐ――北村朋幹×エール弦楽四重奏団」を聴く。

ピアニストの北村朋幹(きたむら・ともき)と、桐朋学園の仲間によって2011年に結成されたエール弦楽四重奏団によるピアノ五重奏曲の演奏会。

曲目は、フォーレのピアノ五重奏曲第1番、シェーンベルクの室内交響曲第1番(ウェーベルン編)、フォーレのピアノ五重奏曲第2番。
フォーレのピアノ五重奏第1番とシェーンベルクの室内交響曲第1番は共に1906年の作曲、1907年の初演であり、並べて演奏されることになった。

 

北村朋幹は、愛知県生まれのピアニスト。浜松国際ピアノコンクール第3位、シドニー国際ピアノコンクール第5位並びに3つの特別賞、リーズ国際ピアノコンクール5位、ボン・テレコム・ベートーヴェン国際ピアノコンクール第2位などの受賞歴がある。東京藝術大学を経て、ベルリン芸術大学ピアノ科を最優秀の成績で卒業。現在はフランクフルト音楽・舞台芸術大学でイェスパー・クリステンセンに師事し、歴史的奏法の研究に取り組んでいる。

エール弦楽四重奏団のメンバーは、毛利文香(もうり・ふみか。ヴァイオリン)、山根一仁(ヴァイオリン)、田原綾子(ヴィオラ)、上野通明(うえの・みちあき。チェロ)。

毛利文香は、2012年に第8回ソウル国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門で優勝、2015年には第54回パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールで第2位に入っている。桐朋学園大学ソリストディプロマコースと洗足学園音楽大学アンサンブルアカデミーを修了。慶應義塾大学文学部も卒業している。

山根一仁は、中学生だった2010年に第79回日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門で第1位。中学生での1位獲得は26年ぶりであった。現在はミュンヘン音楽演劇大学でクリストフ=ポッペンに師事している。

田原綾子は、第11回東京音楽コンクール弦楽部門第1位と聴衆賞を獲得。第9回ルーマニア国際音楽コンクールでは全部門でグランプリを獲得している。桐朋学園大学音楽学部を卒業後、パリ・エコールノルマル音楽院とデトモルト音楽大学で学んでいる。

上野通明は、2009年、13歳の時に第6回若い演奏家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクールで日本人初の優勝。第6回ルーマニア国際コンクール最年少1位、第21回ヨハネス・ブラームス国際コンクールで優勝など華麗な経歴を誇る。現在はデュッセルドルフ音楽大学でピーター・ウィスペルウェイに師事している。

 

パリ音楽院院長を務めたことでも知られるガブリエル・フォーレ。劇音楽「ペレアスとメリザンド」、「レクイエム」、「パヴァーヌ」、歌曲「夢のあとに」などで知られ、いかにもフランス的なノーブルな作風で知られている。保守的と見なされることも多く、革命児のドビュッシーとは音楽面では敵対していた(仲自体はさほど悪くなかったようである)。

 

フォーレのピアノ五重奏曲第1番。北村はベーゼンドルファーのピアノを使用。室内楽ということでステージ奥寄りでピアノを弾くが、ムラタホールでは奥にピアノを配置した方が音が良くなるように思えた。
エール弦楽四重奏団の配置は、下手手前から時計回りに、山根一仁、上野通明、田原綾子、毛利文香。配置は1曲ごとに変わる。
フォーレは各楽器が対話を交わすような趣の曲を書いている。基本的にエレガントな音楽であるが、第3楽章冒頭のピアノとピッチカートの弦楽が奏でるメロディーは愛らしく、ポップですらある。ただそこからうねるような展開を見せ、スケールがどんどん大きくなっていく。

 

シェーンベルク(ウェーベルン編)の室内交響曲第1番は、うねりやスケールの大きさにおいて、フォーレのピアノ五重奏曲第1番に通じるところがある。北村とエール弦楽四重奏団も力強いエネルギー放出で情熱的な演奏を展開する。

この曲では、フォーレのピアノ五重奏曲第1番の時の、田原綾子と毛利文香が場所を入れ替えた形での配置で演奏が行われた。

 

 

フォーレのピアノ五重奏曲第2番。配置は下手手前から時計回りに、毛利文香、山根一仁、上野通明、田原綾子である。
フォーレは室内楽を好み、ドビュッシーからは「サロン音楽作曲家」と揶揄されたこともある。だが、ピアノ五重奏曲第2番は、シンフォニックでスケール雄大であり、ついぞ交響曲というものを作曲しなかったフォーレが室内楽の分野においてそれに匹敵する壮大な曲を書いていたことが確認される。
第2楽章では無調の部分があるなど、ウィーンで行われていた音楽の影響も取り入れており、単なる保守派の作曲家であったわけではないこともわかる。
第4楽章のラストでは弦楽が力強いユニゾンを奏で、豪勢な響きで曲を締めくくった。

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