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2020年1月22日 (水)

これまでに観た映画より(152) 「武士の家計簿」

午後9時からBSプレミアムで放送された日本映画「武士の家計簿」を観る。森田芳光監督作品。2010年公開の映画である。テレビ出演も多い歴史学者の磯田道史のベストセラー『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』が原作である。脚本は柏田道夫。出演:堺雅人、仲間由紀恵、松坂慶子、中村雅俊、西村雅彦、草笛光子、伊藤祐輝、藤井美菜、嶋田久作、宮川一朗太、小木茂光、茂山千五郎ほか。音楽:大島ミチル。

幕末に加賀前田家の御算用者を務めた猪山直之(堺雅人)とその息子である成之(なりゆき。幼名は直吉。伊藤祐輝)が残した入払帳(家計簿)に取材した作品である。

代々算用を家業としてきた猪山家。加賀前田家は百万石を超えるため、帳簿の計算は重要視されたのだが、御算用者を務めるのは下級武士に限られていた。七代目である信之(中村雅俊)は婿養子として入ったのだが、猪山家として初めて知行地を貰うなど、御算用者としては異例の出世を遂げており、加賀江戸藩邸上屋敷の赤門(現在の東京大学赤門)を経費節減のために表だけ赤に塗るという手法を編み出したことを常々自慢している(史実ではないようであるが)。

息子の直之も御算用者として前田家に仕えることになるのだが、とにかく計算好きであり、「算盤バカ」とまで呼ばれている。一方で、剣術の方は下手の横好きであったが、剣術の師範である西永与三郎(西村雅彦)の娘である駒(仲間由紀恵)と祝言を上げる。
藩内で起こった貧農への「お救い米」の横流し事件の真相に迫ったことから能登・輪島に左遷させられそうになる直之であったが、農民達が一揆を起こしたことから事が明るみに出て、逆に御執筆係に栄転する。
そのまま順調な人生を歩むかと思われた直之であるが、実は猪山家の家計が火の車であることが発覚。金になるものを全て売り払うことで切り抜けることを決断、以後、猪山家の全ての金の出入りを入払帳に書き記すことに決め、質素倹約に励むようになる。

息子の直吉にも御算用者になるよう厳しく接する直之であったが、幕末の騒乱の中、元服して成之と名を改めた直吉は、徳川将軍家と足並みを揃えることを決めた前田家の一兵卒として京へ向かうことになる。


下級武士の悲哀を描きながら、比較的淡々と進む物語である。幕末が舞台であるが、幕末ものにつきものの戦闘シーンなどは一切出てこない。刀ではなく算盤を武器とする武士の物語である。成之は長州の大村益次郎(嶋田久作)に算術の力を見込まれて新政府軍に入るのだが、これが新しい時代の到来を告げることになる。


計算が苦手で、ディスカリキュア(算数障害)ではないかという噂もある堺雅人。計算が苦手なのは本当のようで、国立大学(東京大学ではないかといわれている)の入試で数学の問題が全く解けなかったという話や、早大生時代にアルバイトをしていたドーナツ店でおつりを盛大に間違えたというエピソード、数に弱いので「半沢直樹」の銀行員役を受けるべきか躊躇したという逸話があったりもするが、この作品では算盤を弾く姿が絵になっている。

仲間由紀恵を始め他のキャストも豪華であるが、なんといっても堺雅人演じる猪山直之のキャラが立っており、堺雅人と猪山直之を見るべき映画と断言しても構わないであろう。

今や日本を代表する作曲家となった大島ミチルの音楽も実によく、物語をしっかりと支えている。

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