これまでに観た映画より(156) 「オリ・マキの人生で最も幸せな日」
2020年2月25日 京都シネマにて
京都シネマで、フィンランド映画「オリ・マキの人生で最も幸せな日」を観る。脚本・監督:ユホ・クネスマネン。第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞作品である。出演は、ヤルコ・ラハティ、オーナ・アイロラ、エーロ・ミロノフ、アンナ・ハールッチ、エスコ・バルクォエロ、ジョン・ボスコ・ジュニアほか。16ミリフィルム撮影、オール・モノクロ作品である。
オリ・マキは実在のボクサーであり、世界タイトルマッチを懸けた闘いと恋の日々が綴られている。
1962年のヘルシンキ。コッコラの街のパン屋の息子で、アマチュアボクサーとして活躍していたオリ・マキ(ヤルコ・ラハティ)は、プロ転向後も勝ち続け、世界王者であるアメリカの黒人ボクサー、デビー・ムーア(ジョン・ボスコ・ジュニア)との対戦を控えていた。試合はヘルシンキの陸上競技場で野外マッチとして行われる。フィンランドで世界タイトルマッチが行われるのは初であり、ドキュメンタリー映像が撮影されることも決まった。そんなある日、コッコラに戻り、友人の結婚式に出席することになったオリは、昔馴染みのライヤ(オーナ・アイロラ)に恋をしてしまう。まさにこれから世界タイトルに向けてスパートを掛けなければいけないところなのだが、オリの頭からはライヤのことが離れない。
重量を落としてフェザー級で臨む対戦なのだが、オリの体重は落ちず、マネージャーのエリス(エーロ・ミロノフ)も頭を抱える。エリスは世界タイトルマッチの日こそがオリの人生最高の日となるはずだと確信していたのだが……。
ボクシングを題材にしているが、ボクシング映画でもスポ根ものでもない。それらはあくまで背景であって、オリとライヤのロマンスに重要な場面が割り当てられている。ストーリーでぐいぐい押していくのではなく、シークエンスが飛び飛びに続く感じであり、その手法が一場面一場面の印象を強くさせている。自転車の二人乗りのシーンが二度あるが、いずれも恋の道程を表しており、見ていて微笑ましくなる。
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