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2020年3月21日 (土)

配信公演 阪哲朗指揮山形交響楽団第283回定期演奏会無観客公演(文字のみ)

2020年3月14日

午後7時からは、山形交響楽団が配信サービス「カーテンコール」を使っての第283回定期演奏会の無観客公演の配信を行う。指揮は山形国驚愕団常任指揮者の阪哲朗。京都市出身で、1995年にブザンソン国際史指揮者コンクールで優勝して注目されたが、その後もずっと本拠地はドイツに置いてきた阪。2007年から2009年まで山形交響楽団の首席客演指揮者を務めたことがはあるが、日本でシェフの座を獲得するのは山響が初めてである。このところ急速に評価を上げており、今年は残念ながら中止になってしまったが、ロームシアター京都で毎年行われるローム ミュージック フェスティバルでの指揮は絶賛された。


曲目は、シューマンの「序曲、スケルツォとフィナーレ」、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:神尾真由子)、シューマンの交響曲第2番。本拠地である山形テルサホールでの演奏である。


アイデアマン、飯森範親を音楽監督に頂き、一躍、日本でもトップクラスの人気を得るに至った山形交響楽団。その後、財政的な危機が訪れ、関西フィルの財政状況を劇的に好転させた西濱秀樹を事務方のトップとして招くなど、経営再建に力を入れている。地方公演が全て黒字というのが売りだそうである。大阪でも毎年「さくらんぼコンサート」という演奏会を行っており、好評である。


阪の生み出す音楽はスケールが大きくドラマティック。シューマン作品ではピリオドアプローチを展開。ピリオドによる「モーツァルト交響曲全集」をリリースするなど、古楽的アプローチに強い山響の特性も生かす。


チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソリストの神尾真由子はこの曲を十八番としており、情熱的でスケールが大きく、磨き抜かれた美音によるチャイコフスキーを披露。間違いなく「ブラーバ!」級の快演である。

神尾のアンコール演奏はバッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番より第1楽章。気高さの感じられる演奏であった。


シューマンの交響曲第2番。この曲でもピリオドアプローチが行われるが、学問的な堅苦しい音楽ではなく、推進力と表現力に富んだ演奏が展開される。
シューマンは鍵盤で音楽を考える作曲家であるが、そうした要素も再現されるという一種マジカルな演奏であり、上質なシューマン演奏となった。
陰鬱と評価されることの多いシューマンの交響曲第2番であるが、内部から膨れ上がるようなエネルギーを感じさせる演奏であり、シューマンの未来への希望が力強く示されていた。

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