オーケストラ定期演奏会 未来チケットの可能性を考える
オーケストラには定期会員制度というものがあります。1年を通して同じ席で定期演奏会を聴けるという制度で、1回の定期演奏会におけるチケット料金も1回券よりも割安になります。私も1990年代後半に2年ほどNHK交響楽団の学生定期会員をやっていました。「今回は聴きたくないな」という曲や指揮者であっても損をしないためには聴きに行かなくてはならないというデメリットもあるわけですが。
定期会員のチケットは1年分しか売ることは出来ません。会員が継続の意思を示せば、その席は1年分延長されます。
さて、これらは当たり前のように思えますが、オーケストラの定期演奏会システムは、基本的に変更はありません。NHK交響楽団も3月定期をなくして地方演奏会を入れるなどの変更はありましたが、月に数回(地方オーケストラなどは1回)の定期演奏会があるというルーティンが繰り返されます。
今、オーケストラは演奏会のキャンセルが相次いでいることで倒産の危機に瀕する団体も現れています。オーケストラはチケット料金だけでは運営出来ないのですが、1年先より未来のチケットを売ることでこの苦境に立ち向かえないか思うわけです。倒産しない限り、例えば「2023年の4月に定期演奏会はありますか?」と聞かれたとしても、「あります」と断言出来るシステムが取られているわけですので。
例えば2021年4月から2024年3月までの3年間に行われる定期演奏会が年に10回あるとして、その半分、つまり5回の演奏会のS席で来年度は継続される可能性のない席を割引先行予約出来る「未来チケット」方式(私の思い付きで名付けたものなので検索しても出てきません)などはいいかも知れませんね。一種のプレミアムチケットです。3年分の良席を予め確保出来ることになります。今度年の席を継続する意思のある人も事前に3年分買うことが可能です。実際に売れるかどうかはわかりません。ただオーケストラの定期演奏会は他の舞台芸術と違ってこれが可能なシステムなのは確かです。国内オーケストラの定期演奏会のS席は関西だと6千円台から5千円台が相場。千円割引としても5千円台から4千円台。年5回、3年間で15回として、一人当たり7万5千円余りを事前に確保。千円割引はかなりの割引ですので実際はもっと収入は見込めます。
曲目や指揮者が分からない状態でチケットを買う人が多いとは思えませんので、勝算はないかも知れませんが、今のままのシステムでコロナ危機は乗り越えられません。上手くはいかないかも知れませんが何らかの工夫を凝らすが必要となって来ます。もっと良い方法を思いついたら、続きを書くことにします。
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