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2020年4月21日 (火)

これまでに観た映画より(166) 「青春デンデケデケデケ」

配信で日本映画「青春デンデケデケデケ」を観る。大林宣彦監督作品。芦原すなおの直木賞受賞作の映画化である。脚本:石森史郎、音楽&音楽監修:久石譲。出演:林泰文、浅野忠信、大森嘉之、永堀剛敏、佐藤真一郎、ベンガル、根岸季衣、岸部一徳、尾美としのり、水島かおり、尾藤イサオ、入江若葉、日下武史、柴山智加、滝沢涼子、高橋かおり、天宮良、前田武彦、石田ゆり子、佐野史郎、南野陽子(特別出演)、勝野洋ほか。

巨大な寛永通宝の銭形砂絵があることで知られる香川県観音寺(かんおんじ)市を舞台とした青春映画である。
元々はクラシックに興味があったが、高校に入ったらロックをやると決めていた藤原竹良(あだなは「ちっくん」。林泰文)。無事高校に入学し、軽音楽部の門を叩くが、同じ1年生の白井清一(浅野忠信)は、「先輩達はロックを知らない」という。白井はベンチャーズなども弾けるため、すぐに意気投合。更に寺の息子である合田富士男(大森嘉之)、ブラスバンド部の大太鼓希望だったのを引き抜いてドラムを担当させることになった岡下巧(永堀剛敏)が加わり、ベンチャーズなどを演奏するバンド、ロッキング・ホースメンの下地が整った。夏の間は楽器を買うためのアルバイト。手に入れた楽器も全員がすぐに手に馴染み、先行きは明るい。演奏の練習をする場所がなかったりと苦労はするが、いくつかの叶わなかった恋や初恋のエピソードを交えながら、純粋に「良い」と思える青春映画に仕上がっている。

林泰文演じる藤原竹良が冒頭から自己紹介を始めとするナレーションやカメラ目線での傍白を行うなど、原作を生かした独特の演出が特徴である。藤原を始めとする登場人物達の途切れのないセリフはあたかも音楽のグルービングのようであり、それがベンチャーズの音楽へと結びついていく。また突然、想像(妄想)の世界へとトリップするというトリッキーな演出も見所である。

後半は、恋と文化祭での青春最高の輝き、そしてバンドの事実上の解散と大学受験へと向かう日々が描かれており、甘さと切なさが交錯する。同じく四国を舞台にした青春映画「がんばっていきまっしょい」が頭をよぎったりするが、スポ根路線でもある「がんばっていきまっしょい」とは違い、「青春デンデケデケデケ」は成長よりも高校生活という限られた月日をいかに濃密に存在するかに重点が置かれている。

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