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2020年5月24日 (日)

コンサートの記(636) アジアオーケストラウィーク2004 岩城宏之指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 伊福部、武満、外山ほか

2004年10月8日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

大阪へ。ザ・シンフォニーホールで大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏を聴く。アジアオーケストラウィーク2004のトリを飾る演奏会。チケットはいつもに比べれば安いが、台風が近づいているためか客の入りは良くない。指揮は岩城宏之。

岩城の公演を生で聴くのは2回目。いずれも彼の病気が悪化した後だが、今日も歩みがたどたどしい。

1曲目は伊福部昭の「管弦楽のための日本組曲」。伊福部は北海道生まれの作曲界の重鎮。土俗的な迫力ある作風が特徴。世間一般には「ゴジラのテーマ」の作曲者としての方が有名だ。岩城なかなか好調。

武満徹の「夢の時」。誰が聴いても武満の曲だとわかる曲である。武満の前に武満なく、武満の後に武満なし。武満の曲を聴く機会はコンサートでは意外に少ないが(2004年当時)、ホールが武満色に染まってしまう貴重な時間を体験する。

3曲目は徳山美奈子の「大阪素描」。大阪生まれの女流作曲家の作品。祭りや童謡、民謡などを題材にしており、伊福部に共通するところがあるが、彼女の方が洗練されている。演奏後、作曲者登場。喝采を受ける。


メインはシベリウスの交響曲第2番。岩城とシベリウスという組み合わせは意外だが、相性ははっきり言って良くない。ベートーヴェンの交響曲に対するのと同じようにシベリウスに向かってしまったため、結果として迫力はあるが、曲想をはっきり捉えることが出来なくなってしまっている。
ベートーヴェン的シベリウスというものが成功し得ないことを知る。少し眠たい演奏だった。シベリウスの交響曲第2番を生で聴くのは4度目だが、退屈するのは初めてである。


アンコールは外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」。岩城はこの曲の初演者。ちょっとバランスが悪い気もするが手慣れた演奏となる。迫力も十分であるが、ザ・シンフォニーホールは残響がありすぎて直接音が届きにくい気がする。ラストのパーカションは聴覚的にも視覚的にも格好いい。

この曲の演奏は作曲者である外山雄三の指揮、日本フィルハーモニー交響楽団による演奏が良かった。サントリーホールでの演奏会で聴いたのだが、これはライヴ録音されてCDでも聴くことが出来る。
民謡が露骨に使われているので、「真面目」な評論家からは、「オリエンタリズムの押し売り」などと言われるが、こういう人は西洋の作曲家が西洋の民謡を使って作曲すると絶賛したりするのだ。ただの西洋コンプレックスであるような気がする。

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