これまでに観た映画より(188) ライブ・ビューイング フェス2020-Act Call- 「忌野清志郎 ロックンロールショー The FILM~#1入門編~」@MOVIX京都 2020.7.5
2020年7月5日 新京極のMOVIX京都にて
午後7時からMOVIX京都で、「忌野清志郎 ロックンロールショー The FILM~#1入門編~」を観る。5年前の初公開時にTOHOシネマズ二条で観ている作品で、今回、「ライブ・ビューイング フェス2020 -Act Call-」の1作として再度の公開となった。
最後の本格的ライブとなった2008年、日本武道館での「完全復活祭」から1981年に遡るまでの様々な清志郎のライブ映像が並ぶ。ライブの合間にはデジタル表示された年月日が表示されて変化し、タイムマシンで移動するような趣となっている。監督は太田旬。
清志郎の通常のライブ通り、「よォーこそ」(2008年2月10日、日本武道館での「完全復活祭」と1983年の「箱根オデッセイ ポップ」@箱根自然公園での映像)でスタート。
最も古い映像は、スタンダードナンバーである「雨上がり夜空に」で、1981年12月24日のクリスマスイブに日本武道館で収録されたライブのものである。これは「雨上がりの夜空に」のカラオケ映像などでも用いられている。
プレスリーの故郷であるアメリカ・メンフィスのブラスアーティスト(メンフィスホーンズ)をバックに迎えて歌われる「トランジスタ・ラジオ」(1992年4月18日の「Have Mercy」@日本武道館での映像)、スペースシャワーTVで放送された「デイ・ドリーム・ビリーバー」(2004年12月15日、東京体育館)、札幌市民会館最後の日(2007年1月31日)に歌われた「スローバラード」(冒頭に大阪の住之江競艇場で行われたライブでのMCが入っている)、オノヨーコから手紙を貰ったというMCの後で歌われる「イマジン」(2007年12月8日つまり開戦の日@日本武道館)、旧渋谷公会堂での「世界中の人に自慢したいよ」(2004年12月6日)、「日本の有名なロックンロール」という紹介の後で、旋律を東京の言葉のイントネーションに直した「上を向いて歩こう」(1989年12月25日@日本武道館)、晩年のヒット曲である「JUMP」(2008年2月10日、「完全復活祭 日本武道館」)、仲井戸麗市の作曲である「毎日がブランニューデー」などが歌われる。エンドクレジットで流れるのは、「LIKE A DREAM」。
2005年の早稲田大学の学園祭で清志郎は、「キヨシです」と、当時流行っていたヒロシの物真似をする。当時、清志郎はサイクリングに填まっていたわけだが、「自転車が盗まれたとです」と実際にあった盗難事件をネタにしている。「ニュースになったと思ったら、翌日見つかったとです」「新しい自転車が半分以上出来上がってたとです」「警察にはもうちょっと待っていて欲しかったとです」と続けて笑いを取っている。
一方、1982年に撮られた、レコーディング中の清志郎は、鋭い眼光を放つ、才気溢れる若者という印象である。ピアノなど、ステージ上で演奏することが全くないわけではないが、人前で披露することの少ない楽器の練習風景を目にすることが出来る。
いずれも貴重な映像といえる。
5年ぶりに映画館で観たわけだが、清志郎の歌う楽曲は、今の方が痛切にして切実にこちらの胸に届く。
清志郎が、オーディエンスに聞いた、「愛し合ってるかい?」。果たして清志郎の死以降、そして前回この映画が上演された5年前から今に至るまで、人類は本当に愛し合えたであろか。自己愛と身内愛のみが更に増長しているよう見える今、清志郎のような存在が欠けてしまっていることが、本当に心苦しく感じられる。
とても素敵で酷く悲しい夢が2時間余りに渡って流れていく。
新型コロナもそうだが、それがなかったとしても実に酷い時代である。人々は互いを理解することを放棄してしまったようにすら見える。
だが、せめて私だけは、清志郎と夢が見たいと思う。とてもよく似た夢を。
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