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2020年8月 5日 (水)

野田秀樹の「赤鬼」初演時映像を観て

2005年8月26日

ビデオで、野田秀樹作・演出の「赤鬼」を観る。1996年、東京・渋谷にあったパルコ・スペース・パート3での初演時の収録。出演は、野田秀樹、富田靖子、段田安則、アンガス・バーネット。野田とアンガスは、野田がイギリス留学時に参加したサイモン・マクバーニーのワークショップで出会ったそうだ。
異人種との間に横たわる溝を、都市伝説「ウミガメのスープ」などを絡めながら描く。

96年に季刊誌「せりふの時代」が刊行されたが、その時に読んで、大変な感銘を受けた作品である。

ただ、野田作品の常として、戯曲を読んだときの方が、実際に舞台を観たときよりも面白い。「オイル」なども文藝春秋に掲載された戯曲を読んだ時は興奮したものだが、実際に近鉄劇場で舞台を観たときは、「何か違うな」と思ったものだ。

野田、富田、段田の、「田」トリオは一人が何役も演じ分ける。アドリブがビシバシ飛んでいるのがわかる。
早口でセリフは聴き取りづらいし、アンガスもどうやら何語ともつかない言葉を喋っているようだ。英語だと何を言っているのか観客にある程度わかってしまって、「異」が後退してしまうためだろう。

戯曲を読むと解るが、マーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の有名な演説、「Ihave a dream」が用いられている。

ポルトガルの宣教師の来日、鎖国時代の日本、黒船の来航、「鬼畜米英」に至るまでの様々な歴史がセリフ裏にこだまする。
「異」との折り合いの付け方は単に国際的なものではなく、同じ日本人の中での「異」、そして自分の中の「異」にまで及んでいるような深さが感じられる芝居である。

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