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2020年9月25日 (金)

これまでに観た映画より(212) 「雨よりせつなく」

2006年1月22日

DVDで日本映画「雨よりせつなく」を観る。野菜ジュースのCMでニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜と共演していた、モデルの田波涼子の映画初出演作にして主演作。相手役を務めるのは西島秀俊。吉元由美の短編小説集「いつもなら泣かないのに」が原作である。

大手広告代理店のマーケティング部勤務の水野綾美(田波涼子)は30歳を目の前にして独身。彼氏もいない。休みの日にはほとんど誰もいない釣り堀で釣りをしながら物思いに耽っている。結婚を決めた親友(黒坂真美)からは、「あたしと同じで顔はいけてるんだから、もっとやる気ださなきゃ」と急かされているが特に気に留めていないようだ。そんなある日、神宮外苑のフリーマーケットに参加した綾美は、同じ会社の倉沢(西島秀俊)を見かける。何かを探している倉沢。仕事は出来るが影のある倉沢に綾美は次第に惹かれていくのだった……。

田波涼子は人気モデルとして活躍しているためか、特別な美人でもなく演技も上手ではないのに独特の存在感がある。
ストーリー自体はありきたり、といっては何だが、かつてトレンディードラマと称されて量産されたタイプのドラマに似ている。
ただ、静かな展開と、にじみ出る孤独感、西島秀俊の抑えた演技により、浮ついた感じを受けることはない。恋愛と仕事というありふれた話なのに嫌な感じはしない。

映画は、綾美が倉沢からプロポーズされ、それを受け入れるところから始まる。しかし綾美の顔に笑顔はない。

倉沢が綾美にプロポーズするのはわかっているので、あとは二人がどうやって出会い、どのようにしてプロポーズするようになるのかに注意が行く。決して派手ではない、むしろ細かな心理描写に重点が置かれているのがわかる。

倉沢はかつて、愛した女性を事故で死なせてしまった。しかし亡くなった彼女のことをまだ愛し続けている。綾美もそれを知っている。倉沢は己の寂しさを埋めるために他の女を愛そうとしているだけなのではないか。それでも結婚の申し込みに「いいよ」と言った。

九十九里の海で、倉沢と綾美はラジコンの飛行機を飛ばす。倉沢は以前、恋人と二人でラジコンの飛行機を飛ばしに行き、その途中で事故を起こし、恋人は死に、自分は生き残った。

綾美は、そこで倉沢に別れを告げる。死人に負けた悔しさからではない。それが自然だと思ったからなのだろう。

3年後、雨の日に偶然、二人は再会する。これもトレンディードラマでやると見ていられなくなるはずなのだが、二人とも抑えた演技をしているため、見ているこちらが恥ずかしくなるということはない。

別れ際、「私のこと愛してた?」との問いに、「何当たり前のこと聞いてんだよ」といった風に笑顔のみで応答する西島の演技が印象的だった。

 

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