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2020年9月 4日 (金)

BSプレミアム 森光子生誕100年記念「放浪記」を観てのメモ

2020年8月29日

BSプレミアムで、森光子生誕100年記念「放浪記」を観る。2009年5月9日に帝国劇場で収録されたもの。

2012年に92歳で他界した森光子のライフワークであった「放浪記」。林芙美子の同名自伝的小説を菊田一夫が戯曲化した作品であり、1961年に初演。森光子はこの時、すでに41歳であったが、それまでは映画で脇役専門のパッとしない女優だった。森光子が出演していた大阪での舞台をたまたま観た菊田一夫が森のことを気に入り、自身が本を担当した作品の主演に抜擢している。

私も、2008年に大阪の旧フェスティバルホールで森光子主演の「放浪記」を観ているが、3階席で舞台から遠かった上に、この時の大阪公演では森は体調不良であり、セリフもはっきりしないなど万全な出来にはほど遠かった。その後、東京での復調が伝えられ、2009年の5月9日、森の89歳の誕生日の公演で計2000回の上演を達成した。

2000回目の上演を収録した映像である。これを観る限りでは、2008年の大阪公演に比べてはるかに出来が良いのがわかる。セリフにも切れが戻っており、動きも89歳という年齢を考えれば驚異的とまではいかないが上々で、森光子の女優魂が感じられる。

内容自体は、戯曲がまだ完全に文学の領域だった時代の作品ということで現代日本の主流の演劇とは質がかなり異なる。時代に合わせて変えてはいるだろうが、本質は敢えて保存しているように感じられる。古関裕而の音楽を伴う、いかにもメロドラマという場面もある。
そのため人によっては時代がかって感じられるだろうが、1961年当時の空気がそのまま伝わってくるようでもある。

貧困や自意識の問題と戦い続け、描き続けることで本当の「幸せ」から自ら遠ざかっていった林芙美子の人生の「放浪」が描かれており、寄るべきなき人間の孤独と悲しさが伝わってくる。

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