« コンサートの記(652) 京都フィルハーモニー室内合奏団第227回定期公演B~室内楽シリーズ Vol.3「京都で愛でるダンス音楽の夕べ」@京都文化博物館別館 | トップページ | 楽興の時(39) 京都坊主BAR 「MANGETSU LIVE vol.24」(オーボエ:國本恵路) »

2020年9月 7日 (月)

これまでに観た映画より(204) 「ALWAYS 三丁目の夕日」

2020年9月4日

DVDで日本映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を観る。山崎貴監督作品。2005年の映画である。原作:西岸良平(漫画「三丁目の夕日」)。出演:吉岡秀隆、堤真一、薬師丸ひろ子、堀北真希、小雪、もたいまさこ、三浦友和(友情出演)、麻木久仁子、ピエール瀧、須賀健太、小木茂光、石丸謙二郎、奥貫薫、マギー、温水洋一、木村祐一、益岡徹、小日向文世ほか。

東京タワーが竣工する昭和33年の春から大晦日に掛けてを描いた作品であり、昭和のテイストで溢れている。

昭和33年は、西暦でいうと1958年。長嶋茂雄が読売ジャイアンツに入団し、開幕戦の対国鉄スワローズ戦で金田正一から4打席4三振を喫するという有名なデビューを果たした年である(劇中で子ども達がそれを真似るシーンが出てくる)。京都市交響楽団の常任指揮者兼芸術顧問である広上淳一はこの年の5月5日に生まれている。

この作品は、堀北真希の出世作であるが、その堀北真希も山本耕史と結婚し、3年前に芸能界を引退。時の流れの速さが感じられる。

現在の東京都港区愛宕付近が三丁目のモデルとされている。

芥川龍之介ならぬ茶川竜之介(吉岡秀隆)は三文作家。駄菓子屋・茶川商店の主と作家を兼ねている。本格的な純文学作品を目指して執筆を続けているが、良いところまで行った経験はあるものの、この頃は落選続き。生活のために子ども向けの雑誌に冒険ものを連載しているが本意ではない。飲み屋の女主人であるヒロミ(小雪)には、「大人には失望した。子ども達の文学的素養を高めるための作品を書く」とくだを巻いている。
そんな茶川のところに、捨て子である吉行淳之介ならぬ古行淳之介(須賀健太)がやって来る。最初は淳之介を邪魔者扱いしていた茶川であるが、淳之介の子どもながらに優れた文才と想像力に愕然とし……。
ちなみに淳之介の母親の名は和子(奥貫薫が演じている。ワンシーンのみの登場)となっており、遊びが見られる。

一方、青森から集団就職で上京した星野六子(むつこ。「ろく」「ろくちゃん」というあだ名で呼ばれる。堀北真希)は、大きな会社に入れるものだと胸を膨らませていた。
国鉄上野駅の改札口まで出迎えに来た鈴木オートの社長である鈴木則文(堤真一)のビシッとした背広姿に夢が広がるが、鈴木オートは小さな自動車修理業者であり、一気に幻滅する六子。夢との落差に一人涙した六子だが、熱心に働き続け、星野の家族からも認められていく。

日本が成長へと向かっていく時代。建設中の東京タワーはまさに希望の象徴であった。明日は今日よりも良くなる。それが当たり前だった時代の朗らかさが画面から伝わってくる。東京タワーの他にも、三種の神器と呼ばれた、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が登場。便利な世の中になっていく。その一方で、氷屋(ピエール瀧)が仕事を奪われて寂しそうな表情を浮かべるなど、時代から取り残されつつある人々も登場する。茶川、ヒロミなどはそうした人々の一人であり、映画の中では描かれていないが、今後訪れるモータリゼーションの時代によって成功が待ち受けているであろう鈴木オートの人々や、ある意味最も幸せな時代に青春期を過ごすであろう子ども達との対比も絶妙で、憧れと切なさが同居している。昭和33年には私はまだ生まれていないが、そんな昭和ノスタルジーはなんとなくではあるが想像出来る。

反語が多用されるセリフも魅力的であり、日本語の情緒の豊かさも印象に残る。

|

« コンサートの記(652) 京都フィルハーモニー室内合奏団第227回定期公演B~室内楽シリーズ Vol.3「京都で愛でるダンス音楽の夕べ」@京都文化博物館別館 | トップページ | 楽興の時(39) 京都坊主BAR 「MANGETSU LIVE vol.24」(オーボエ:國本恵路) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« コンサートの記(652) 京都フィルハーモニー室内合奏団第227回定期公演B~室内楽シリーズ Vol.3「京都で愛でるダンス音楽の夕べ」@京都文化博物館別館 | トップページ | 楽興の時(39) 京都坊主BAR 「MANGETSU LIVE vol.24」(オーボエ:國本恵路) »