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2020年10月12日 (月)

観劇感想精選(358) 近松劇場パート20ファイナル わかぎゑふ作・マキノノゾミ演出「夢のひと」

2006年3月20日 吹田メイシアター中ホールにて観劇

阪急吹田駅前にある吹田メイシアター中ホールで、近松劇場パート20ファイナル「夢のひと」を観る。近松劇場とは、吹田メイシアターが、近松門左衛門の戯曲を関西の有名劇作家が現代風にアレンジした作品の上演を毎年続けてきたもので、今年で20年目を迎えた。そして今回がラストとなる。

ファイナルを飾る「夢のひと」は近松の特定の作品をアレンジしたものではなく、わかぎゑふによるほぼオリジナルの作品。
舞台は女郎屋であり、当初わかぎは、「心中ものを書こう!」と思っていたが、けっきょくは「死ぬ人の物語ではなく、生きぬく人の話に」なった(パンフレットに書かれた、わかぎゑふの文章より)。

ファイナルということで、今回は、かつての関西小演劇会を代表する俳優であり、現在は東京を本拠地に、テレビ、映画、舞台などで活躍する升毅を主演俳優に、東京の北区つかこうへい劇団から木下智恵をヒロインに迎え、吹田メイシアター中ホールでの上演となった(これまでは小ホールでの上演であった)。演出は、劇団M.O.P.のマキノノゾミ。

昭和初期。大阪にある女郎屋の「梅川」に、久我山陽一郎(升毅)という三越の社員がなぜか住み着いていた。ある日、「梅川」に上田千代(木下智恵)という広島出身の若い女が売られてくる。夜中、陽一郎が「梅川」に帰ってくると、彼を泥棒と勘違いした千代が火鉢を手に出ていくよう迫る。その勘違いが、陽一郎と千代との出会いであった……。

物語はわかりやすく、きちんとしている。余計と思われるストーリーもあるが、それも一興。くさいセリフと演技によるシーンがあるのも一興。くさいセリフも良い俳優が言うと格好良く聞こえるのだから不思議だ。

ただ、何かが足りなくて、何かが多すぎるような気もする。バランスが微妙に悪いのだ。2時間10分ほどの公演だったが、陽一郎と千代がメインの恋愛話になるまでに1時間半近くを要したのが、あるいはバランスの悪さを感じさせた一因なのかも知れない。

マキノ演出とわかぎ脚本の相性はそれほど良くないのかも知れないが、役者は総じて高レベルであった。

明日は、ワールド・ベースボール・クラシックの決勝戦であり、升毅が王ジャパンへの期待を語った。

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