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2020年10月 5日 (月)

観劇感想精選(355) こまつ座「兄おとうと」2006

2006年3月17日 尼崎市のピッコロシアターにて観劇

尼崎市の塚口というところにあるピッコロシアターで、こまつ座の「兄おとうと」を観る。作は勿論、こまつ座の座付き作家である井上ひさし。演出は文学座の鵜山仁。出演は、辻萬長(つじ・かずなが。通称の〔つじ・ばんちょう〕の方が通りがいいかも知れない)、剣幸(つるぎ・みゆき)。大鷹明良(おおたか・あきら)、宮地雅子、小嶋尚樹、神野三鈴(かんの・みすず)。
大正デモクラシーの先導者、吉野作造と、弟で官僚の吉野信治の兄弟が主人公。理想主義者の兄・作造と、現実主義者の弟・信治の葛藤を描く。

1階ロビーのソファーに腰かけていると、見覚えのある痩身の男性が階段を降りてくるのが見えた。「誰だろう?」と思ってよく見てみると、桃園会の深津篤史(ふかつ・しげふみ)氏であった(深津篤史氏は2014年に46歳の若さで他界することになる)。


作品は文句なしに良かった。本当に良いものを観たときは手が勝手に動いて拍手するものだが、今日は久しぶりにその感覚を味わうことが出来た。拍手という行為の始まりは儀礼的なものではなくて、自然発生的なものなのではないかと、思ってしまうほど無意識に手が動いていた。

何よりもまず、セリフが創り上げる作品構造がしっかりしている。物語を組み立てる言葉と説明、心理吐露、駄洒落などがはまるべき所にはまっていて盤石である。役者も万全。普段見慣れている舞台俳優とは格が違う。力がある俳優でないと、こまつ座の舞台に上がることなど出来ないから、これは当然といえば当然なのだけれど、役者の成すべきことは何か、今すべきことは何か、してはいけないことは何か、を全て把握している。

井上ひさしの作品は嘘と実が頻繁に入れ替わるのだが、いつもながら手並みは鮮やかである。笑いが欲しいところで笑いを入れてくれるし、考えさせるべきところできちんと考えさせてくれる。

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