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2020年10月20日 (火)

観劇感想精選(360) SPAC 鈴木忠志演出「酒神ディオニソス」

2006年4月1日 尼崎市のピッコロシアターにて観劇

尼崎のピッコロシアターでSPAC(Shizuoka Performing Arts Center)の公演、ギリシャ悲劇「酒神ディオニソス」を観る。作:エウリピデス、演出は鈴木忠志。

テーバイの王室がディオニソス神の怒りに触れ、悲劇が起こるという物語である。

演出は、「型」や「格調」を重視したものでいかにも鈴木忠志らしい。しかし外面を重視する余り、人間味が後退しているのはいただけない。そもそも鈴木忠志の演劇にそんなものを求めるのが間違いだと言われればそれまでなのだけれど。

初演の際、テーバイの王・ペンテウスを演じたのが故・観世寿夫(能楽師。観世榮夫の実兄)ということもあって、いかにも能のような味わい。しかし意図がわかりすぎて、奥行きを感じない。それに初演の時の演出をほぼそのまま今やっていいのかという疑問も起こる。
やはり不用意に芸術したところがあるので、明らかに笑いが起こる箇所で、クスリとも笑いが起きなかったり(観客も芸術だと思ってみていたのだろう。私は少し笑った)、人間の愚かしさが伝わりにくかったりもする(かなりお馬鹿な人も出てくるのだが)。
だが、こうしたことが海外に行くと、「オリエンタリズム」、「ジャポニズム」と言われて評価されるのだと思われる(今日は鈴木忠志のアフタートークがあり、鈴木が意図的にそういう評価を狙っているのだということもわかった)。

アフタートーク。鈴木の喋ること喋ること。かなり話し好きの人らしい。話の内容は分かり易い。分かり易すぎるくらいだ。演出の仕方なども話していたが、かなりオーソドックスである。特別なことは何もしていない。悪く言えばありきたりですらある。鈴木忠志というと理論好きというイメージがあるが、あれはあくまで知的武装で、実際は、おしゃべりと自慢と演劇が好きな普通のおっさんであるようだ。いついかなる時も演劇のことは考えているそうで、パチンコが大好きだそうだが、どれだけ夢中になっても演劇のことは考えているそうである。

30分以上一人で喋り続けてから、観客の質問に答えるというスタイルになる。しょうもない質問をする人もいたが(だから鈴木さんはさっき説明していただろ)、鈴木忠志は1つの質問に対して、10分近くも答え続ける。本当に話し好きなようだ。

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