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2020年11月29日 (日)

観劇感想精選(370) 風琴工房 「紅き深爪」

2006年8月1日 左京区下鴨の人間座スタジオにて観劇

下鴨にある人間座スタジオで、東京の劇団、風琴工房の「紅き深爪」を観る。作・演出:詩森ろば。風琴工房も“TOKYO SCAPE”で上洛して公演を行っている劇団の一つだ。

「紅き深爪」は幼児虐待やアダルトチルドレンをテーマとした芝居である。

まず、人物設定が細かいことに感心する。箱書きにはおそらく個々の登場人物に関してかなり書き込まれているはずで、丁寧な仕事ぶりを好ましく思う。
サブテキストもわかりやすく、姉妹がなぜこれほど性格が異なるのか、彼女たちがどんな子供時代を過ごし、どのように成長してきたかが手に取るようにわかる。
病室が舞台であり、姉妹の母がカーテンの向こうで死の床に就いているのだが、この母親の人物像も自然なセリフでわかりやすく説明される(映画「愛を乞うひと」の原田美枝子のような人だったらしい)。

少しステレオタイプかな、と感じた場面も実は狙いであったことがわかり、「やるな」と思う。作家はよく勉強している。

役者のレベルにはややバラツキがあるが、上手い役者はとにかく上手く、全体の水準が引き上げられていた。

見応えのある芝居であった(全席指定であり、最前列に座ることになったのだが、最前列で観るには重い芝居ではあったが)。ただ、この手の芝居は好き嫌いがはっきり分かれるのが常である。「愛を乞うひと」が嫌いな人は(「『愛を乞うひと』なんて二度と見たくない」という人を私は何人か知っている)この劇も苦手なはずだ。

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