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2020年11月15日 (日)

これまでに観た映画より(227) 「blue」

2006年7月19日

DVDで日本映画「blue」を観る。2001年の作品。安藤尋監督。主演は、市川実日子(いちかわ・みかこ)、小西真奈美。
魚喃キリコ(なななん・きりこ)の漫画が原作である。

女子高を舞台とした青春もの。タイトル通り、ブルー系のトーンが用いられており、海や草木の青さも強調されている。

友達は多いけれど、どことなく周囲に馴染めないものを感じている桐島カヤ子(市川実日子)。ある日、桐島は、2年生の時に停学処分を受けて今は同級生となった1歳上の遠藤雅美(小西真奈美)が通学途中にバスを降り、海へ向かうのを見る。遠藤に興味を持ち始める桐島。

合コンの帰り道、桐島は男の子にホテルに連れ込まれる。しかし桐島は彼を好きになれない。桐島が好きなのは同性の遠藤なのだから……。


女の子同士の恋愛も描かれるが、軽いタッチであり、嫌な感じはしない。それに遠藤も同性が好きなふりをしたが、本当は男が好きである。2年生の時も、妻子ある男性と不倫をして妊娠してしまい、堕胎したことがばれて停学処分になったのだった。

出演者達のセリフは抑揚が抑え気味であり、時には棒読みのように聞こえる。ただ、全員が同じような調子で話すのをみると、セリフが下手なのではなく、敢えて感情を抑えるよう指示があったと考えるべきだろう。ある意味、ちょっと頭の良い学生が作った自主製作映画のような生硬さを求めていることが細部から見て取れる。女の子数人が話す場面でも間が不自然であるが、そうであるが故に彼女たちの未成熟な内面が浮かび上がる。
特典映像を見ると、安藤監督は、演者になるべく間を長めに取るよう求めていることがわかる。やはり意図的に生硬さを出していたのだ。

桐島と遠藤二人のシーンはおそらく何テイクも撮ってその中で一番アンバランスなもの選んでいるのだろう。上手く見えては駄目なのだ。

ストーリーが起伏に乏しい内省的なものであるということも含めて本格的な映画が好きな人は嫌うかも知れないが、普段とはちょっと毛色の違う映画を観てみたいという人にはお薦めである。
ただ、バスを追うシーンで物語は完結しているのであり、その先の映像は無用なように思える。そこが難点だ。
ちなみに市川実日子はこの作品で、モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を獲得している。

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