配信公演 坂本龍一 「Ryuichi Sakamoto Playing the Piano 12122020」(文字のみ)
2020年12月12日
午後7時半から、坂本龍一の有料配信コンサート、「Ryuichi Sakamoto Playing the Piano 12122020」を視聴。高画質・高音質配信が可能なMUSIC/SLASHを使っての配信である。
配信の本番が始まる前に、坂本龍一が屋外で皿などを割る模様を捉えた映像が流れ、要約すると「2020年は否応なしに変化を求められる年となった」という意味の字幕が流れる。
7時30分から、まずアーティスト、インタラクションデザイナー、プログラマで今回の演出を任された真鍋大度(まなべ・だいと)へのインタビュー映像が流れ、コロナでの自粛期間中、配信の公演は沢山観たし、Zoomで色々な人と話したりもしたが、身体が感じられなかったといったようなことを語る。
今度は、真鍋がインタビュアーとして坂本龍一に質問をすることになるのだが、犬型のロボットにスマホ状(スマホそのものなのかも知れないがよくわからず)をセットし、犬型ロボットがガシガシとした足取りで坂本龍一のいる部屋に赴くという趣向になっている。
坂本龍一の住むニューヨークの街はかなり厳しくコントロールされており、4段階ある安全基準の今は3段階目だそうで、レストランに定員の25%までなら入れていいなど、細かな決まりがあるそうである。
ブロードウェイの俳優やダンサー、ミュージシャンなどは仕事が完全になくなってしまったため、ストリートで様々な芸を披露したりしているという。
犬型ロボットの動きに無駄がなくて不自然だという話から、坂本は雨音が大好きでずっと聴いていられるという話になり、「ベートーヴェンやマーラーが色々構築した音楽を書いているけれど、結局のところ雨音に勝てないんじゃないか」と最近では思うようになっているそうである。
ピアノの演奏に関しても変化はあるそうで、ピアノの弦の一本一本の響きを味わいながら弾くことが最近では好きなのだが、それだとどうしてもテンポが遅くなり、昔からのファンに、「最近、ピアノ遅くないですか?」と指摘されるそうである。
本編では、まず円形オペラ劇場のようなところでの演奏から始まる。真鍋から受けたインタビューにより、坂本は帰国して2週間の隔離を経ており、東京で配信のための演奏を行うことは知らされていたのだが、東京にああいった劇場があるとは思えないため、CGか合成だろうと思われるわけだが、最近の技術力はかなり高いようで、実際に円形オペラ劇場にいるように見える。その後、背景は変化し、雲の上にいるようになったり、浜辺で弾いているように見えたり、白い壁と白枠の大きな窓のある部屋の中に移ったりする。
曲目は王道で、「async」の第1曲である「andata」に始まり、「美貌の青空」、「青猫のトルソ」、「BEFORE LONG」、「シェルタリング・スカイ」、「ラストエンペラー」、「戦場のメリークリスマス」、「PERSPECTIVE」などの代表曲が次々に弾かれていく。坂本龍一のピアノコンサートには2度行ったことがあるが、また参加してみたくなる。
最後のピアノ曲は、無印良品のCM曲「MUJI2020」。これが公開初演になるという。その後に、冒頭の映像で坂本が割っていた皿の断片などを使ったノイズミュージックが奏でられる。音と雑音の境界への挑戦であった。
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