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2020年12月20日 (日)

これまでに観た映画より(236) アンソニー・ホプキンス主演作「タイタス」

2006年9月27日

DVDでアメリカ映画「タイタス」を観る。シェイクスピアの戯曲「タイタス・アンドロニカス」が原作。ジュリー・テイモア監督作品。アンソニー・ホプキンス主演。

残酷劇「タイタス・アンドロニカス」はシェイクスピアが残した戯曲の中でも最も人気のない作品の一つ。残酷過ぎ、また文章の格調が高くないことから、シェイクスピアの真作かどうか疑われた時期もあった。シェイクスピア存命中は人気があったようだが、長く忘れられ、また20世紀に入ってからの上演でも、クライマックスで失笑が起きるなど失敗が多く、問題作とされる。

「ライオン・キング」の演出家として知られるジュリー・テイモアは、シェイクスピアの原典を大筋では守りつつ、古代ローマの話なのに、自動車が出て来たり、ゲームセンターがあったりと、古典一色になるのを避け、美しい映像で残酷さを彩ってみせる。冒頭の仕掛けと、ローマ兵の物々しさで、まず観る者の度肝を抜くのも効果的だ。

ラストの残酷シーンも上手く切り抜けた。というより、良く計算された演出を施した。そのため却って原作の限界が見えてしまった部分もあるのだが。

主人公であるタイタス・アンドロニカス役のアンソニー・ホプキンスの怪演も見事である。

イギリスの映画だったら、人間の抱える闇にもっと奥行きが出たのかも知れないが、アメリカ風の「生まれながらの悪人」像もこうした映画で観るなら悪くはない。

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