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2020年12月13日 (日)

観劇感想精選(377) 「戸惑いの日曜日」(「アパッチ砦の攻防」より)2006

2006年9月12日 大阪・新町の大阪厚生年金会館(ウェルシティ大阪)芸術ホールにて観劇

大阪へ。新町にある大阪厚生年金会館(ウェルシティ大阪)芸術ホールで、『戸惑いの日曜日』(「アパッチ砦の攻防」より)を観る。10年前に東京ヴォードヴィルショーが初演した三谷幸喜作の「アパッチ砦の攻防」に三谷自身が加筆したテキストを用いて、1999年に名古屋のみで上演された舞台の再演。演出・出演:佐藤B作。佐藤B作の他、あめくみちこ、佐渡稔といった東京ヴォードヴィルショーのメンバーに加え、西郷輝彦、細川ふみえ、中澤裕子らが出演する。

かなり前の方の席であった。幕が上がると佐藤B作と中澤裕子が板付きでいるのだが、第一声を発するまで中澤裕子が極度の緊張状態にあることがありありと伝わってくるほど前の席である。
中澤裕子ももうベテランだが、やはり舞台は──特に第一声を発するまでは──幾つになっても極度に緊張するものらしい。

東京・代々木上原の超高級マンション「フォート・アパッチ」の一室。鏑木(佐藤B作)が離れて暮らす娘のちよみ(中澤裕子)の婚約の報告に喜んでいる。しかし実は鏑木は4日前まではこの部屋の住人だったのだが、借金返済のためすでに部屋を売り払っており、今のこの部屋の主は引っ越してきたばかりの鴨田(西郷輝彦)という男だ。しかし、鏑木は見栄のため、今は四畳半のアパートに越したと娘に言うことが出来ず、大家に返したふりをして持ち続けていた合鍵を用い、鴨田の留守を狙って、娘を呼び、今でも高級マンション暮らしをしているように装っているのだ。
娘に良い暮らしをしているよう見せかけることに成功し、さっさと帰ろうとする鏑木。しかし、鴨田が腰を痛めて、ゴルフを早めに切り上げて帰ってきてしまったことからややこしいことになり……。

状況設定も人物設定も嘘くさいが、もともとこの手の劇はそうしたものだし、それを承知で楽しみに来ているので問題はない。こんな人は絶対にいない、というより実際にいたら怖いという人物が次から次に出てくるが、ありふれた人が出て来てもコメディーにはならないので、傷とはしない。演劇は「リアルごっこ」でも「もっともらしさを競うゲーム」でもないのだから。

「古畑任三郎」の風間杜夫がゲストの回に似たところのある展開。細部はよく詰められており、笑わせ所も気持ちいいくらいビシッと決まる。

第1幕80分、第2幕70分という大作であったが、最後の最後まで客を惹きつけ、笑わせることに成功していた。作品の内容自体はそう大したものではないかも知れないが、笑わせる技術の高さにはやはり感心する。作品のクオリティーを上げるより、笑いの回数を増やす方が難しいはずなので、大成功といってもいいだろう。

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