これまでに観た映画より(241) 「カッコーの巣の上で」
2007年3月14日
DVDでアメリカ映画「カッコーの巣の上で」を観る。1975年度のアカデミー作品賞受賞作品。ミロス・フォアマン監督、マイケル・ダグラス製作、ジャック・ニコルソン主演。
精神病院を舞台にした名作との誉れ高い作品である。タイトルは「カッコーの巣の上で」というものだが、ご存じの通りカッコーは巣を作らない鳥である。意味深長なタイトルだ。
前科者で何度も刑務所に入っているマクマーフィ(ジャック・ニコルソン)は今度は刑務所行きを逃れるために精神異常を訴えて精神病院の閉鎖病棟に送り込まれる。しかし、そこは徹底して管理された非人間的社会であった……
決して心楽しくなる映画ではない。マクマーフィによって精神病院から一時的に抜け出した患者達が魚釣りに出かけたりする場面に痛快さを覚えることはあるが、後半、特に結末近くは陰惨であり、生きるということの難しさと痛々しさが胸に迫る。
本当に人間らしくあるといはどういう事なのかという問いがある。精神病患者を精神病患者として扱っても人間として扱ってもそこには矛盾が生じてしまう。そもそも人間らしさという概念そのものが曖昧なのに人間らしさというイメージをなんとなく共有していることは世界としてまっとうなのだろうか。
全米から1200人以上も集まったオーディションを勝ち抜いた精神病院入院患者役の俳優達の演技は実に上手い。日本にも精神病患者を演じるのが上手な俳優もいるが質量共にアメリカには勝てないだろう。まあ、映画層も俳優層もアメリカは日本とは比べものならないほど厚いのでそれは当然なのだが。
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