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2021年1月 4日 (月)

これまでに観た映画より(237) 「さよならみどりちゃん」

2006年11月5日

DVDで日本映画「さよならみどりちゃん」を観る。「この窓は君のもの」、「ロボコン」の古厩智之監督作品。女性漫画家・南Q太の漫画が原作。
「3年B組金八先生」の乙女ちゃん役でおなじみの星野真里主演。共演は西島秀俊、岩佐真悠子ほか。

素直なことだけが取り柄であるOLのゆうこ(星野真里)は元バイト先の先輩であるユタカ(西島秀俊)と結ばれて幸せ一杯。ところが、ユタカから「みどり」という名の彼女がいると知らされてショックを受ける。それでもユタカが好きなゆうこは、ユタカの勧めで仕事帰りにスナック「有楽 YouLark」でのバイトを始める。ユタカの働くカフェバーで優希(岩佐真悠子)という女の子が働き始める。優希に「ユタカさんの彼女ですか?」かと聞かれたゆうこは違うと否定する。優希もユタカが好きで彼女になってみたいと言う。彼女じゃないから、とゆうこは答えた。
ユタカの優しさに惹かれるゆうこ。だが、ユタカの優しさはいい加減さと表裏一体であり、またユタカは誰に対しても優しいのだった……

自己が希薄で、すぐに流されてしまうゆうこ。映画の中でも成長は見られず、このまま人生駄目駄目街道を歩み続けそうだが、一途なところがあるため、鈍くささよりも愛らしさを先に感じてしまう。

大人になれない大人のユタカであるが、あるいは一度はゆうこに「No」と言って貰いたかったのかも知れない。言って貰ったからと言ってユタカが成長するとも、ゆうこが成長するとも限らないのだが。

星野真里のかなり長いヌードシーンがあるが、エロティックな感じが余りしないのは、「二人(ゆうことユタカ)はまるで捨て猫みたい」に見えるからだろうか。実に切ないのである。

ユーミンの「14番目の月」、“次の日からは欠ける満月より 14番目の月が一番好き”という歌詞を持つ曲を、ゆるーく歌うゆうこは本当に魅力的である。多分ゆうこは14番目の月にも満月にもなれないだろうし、救いがあるわけでもないのに何故か救われたような気分になれる。
「14番目の月」は主題歌としても用いられている。

古厩監督は最初の頃は矢口史靖監督と良く比較されたが、矢口監督がエンターテインメント路線を歩み続けているのに対し、古厩監督は独自の路線を進みつつあるようだ。電車の音や子供達の遊ぶ声など、街の音をそのまま効果音として使うところや、本来なら少しはカメラが寄りそうなところを全く寄らずにフラットに撮っているところなどが興味深い。

なお、星野真里はこの映画で、「ナントの勅令」で有名なフランス・ナントの映画祭の主演女優賞を獲得している。


昨日、「洛北日和」に“十四番目の月”というタイトルでモノクロームの写真を載せた。タイトルはもちろんユーミンの「14番目の月」に由来しているのだが、その翌日に「14番目の月」を主題歌にした映画を観るという偶然。大した偶然ではないけれど、人生は不思議だ。

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