« 美術回廊(61) 京都髙島屋7階グランドホール 「没後70年 吉田博展」 | トップページ | これまでに観た映画より(240) 「ラ・ラ・ランド」 »

2021年1月13日 (水)

コンサートの記(681) ペーター・グート指揮ウィーン・シュトラウス・フェスティバル・オーケストラ「ニューイヤー・コンサート」2007京都

2007年1月12日 京都コンサートホールにて

京都コンサートホールで、ペーター・グート指揮ウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラによるニューイヤー・コンサートを聴く。日本を代表する若手ソプラノ歌手・森麻季がゲスト出演する。

ウィンナ・ワルツやポルカのスペシャリストとして一部で高い評価を受けているペーター・グートはもともとはヴァイオリニストであり、生地のウィーンでヴァイオリンを学んだ後、旧ソ連に留学。モスクワ音楽院で当時世界最高のヴァイオリニストの一人であったダヴィッド・オイストラフに師事している。
ウィーン交響楽団の初代コンサートマスターとなったグートは1982年に指揮者としての活動を開始、ヨハン・シュトラウスⅡ世同様、ヴァイオリンを弾きながらオーケストラを指揮することもある。

ウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラは名前通りの祝祭オーケストラだが、1978年から活動を続けており、シュトラウス・ファミリーの演奏はお手の物だ。

森麻季は有名だ。
で済ませたいところだが、クラシックの知識のある方ばかりとは限らないので紹介しておくと、1970年、東京に生まれ、東京藝術大学および大学院、文化庁オペラ研修所を経て、イタリアに留学。まずアメリカで成功を収め、日本ではNHK交響楽団との共演で知名度を上げる。昨年(執筆当時。具体的に書くと2006年)、avexからCDデビューしている。伸びやかな高音と華やかな容姿が売りである。

ウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラは小編成(ファースト・ヴァイオリン8、セカンド・ヴァイオリン3、ヴィオラとチェロとコントラバスが2。2管編成)であり、京都コンサートホール大ホール向きではない。だから最初の曲である「こうもり」序曲などは音量に不満を感じたが、ワルツやポルカなどは音量よりも音の美しさが重要なのでボリューム不足はさほど気にならなかった。アンサンブルの精度はもう1ランク上を望みたくなるが音の艶やかさは十二分に合格点に達していた。

ペーター・グートの指揮はCDでも耳にしているが、本当に楽しそうにワルツやポルカを演奏する。ショーマンである。これは音だけではわからない。やはり音楽は生が一番である。チケットもそう高くはないんだし。

森麻季は3曲に登場。まずはオペレッタ「こうもり」より“伯爵様、あなたのようなお方は”。続いてワルツ「春の声」。最後がオペレッタ「こうもり」より“田舎娘を演る時は”。いずれも余裕を持って歌われる高音が素晴らしい。ただ今日は私はステージ下手(左側)真横に座っており、私の席からは森の声は聞き取りにくかった。残念。
森は“伯爵様、あなたのようなお方は”ではピンクのドレスにショッキングピンクの手袋、「春の声」では青いドレスにターコイスブルーのショール、“田舎娘を演るときは”ではエメラルドグリーンのドレスに白い手袋で登場。森のドレス姿の鮮やかさに会場のここかしこから女性のため息が起こる。

全プログラムを終えて、グートと森が登場。森は最初に出てきた時と同じピンクのドレスにショッキングピンクの手袋。グートはラデツキー行進曲をオーケストラに演奏させて、自分は森と共に客席に降りて1階席を巡る。会場にいた子供3人を呼んでステージに立たせ、指揮棒を持たせて指揮の真似事をさせると再び森麻季と更にファーストヴァイオリン8人を引き連れて1階席を一巡り。サービス精神旺盛である。


ウィーン・シュトラウス・フェスティバル・オーケストラ ニューイヤー・コンサート2007 公演パンフレット(鴨東記)

| |

« 美術回廊(61) 京都髙島屋7階グランドホール 「没後70年 吉田博展」 | トップページ | これまでに観た映画より(240) 「ラ・ラ・ランド」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 美術回廊(61) 京都髙島屋7階グランドホール 「没後70年 吉田博展」 | トップページ | これまでに観た映画より(240) 「ラ・ラ・ランド」 »