観劇感想精選(380) 若尾文子主演 ノエル・カワード作「セレブの資格」
2007年4月28日 シアター・ドラマシティにて観劇
大阪へ。シアター・ドラマシティで、ノエル・カワード作のコメディ「セレブの資格」を観る。「セレブの資格」の原題は“RELATIVE VALUES”。「セレブの資格」という日本語タイトルのセンスは今一つだと思うが、特に困るほどでもないので(私が興行する側だったらやめさせるけれども)いいだろう。
「プライベート・ライヴズ(私生活)」のノエル・カワードの本ということで期待の公演。テキスト日本語訳:高橋知伽江、演出:高瀬久男、音楽:稲本響。
出演は、若尾文子、柴田理恵、愛華みれ、小林十市、峰さを理、綾田俊樹ほか。
まさか、若尾文子主演の舞台を観る日が来ようとは想像もしていなかった。
1950年代、イギリス・ケント州の、とある田舎に暮らす地方貴族、マーシュウッド伯爵家が舞台である。
先代のマーシュウッド伯爵未亡人であるフェリシティ(若尾文子)の息子で、海外滞在期間の長かったナイジェル・マーシュウッド伯爵(小林十市)が、ハリウッド女優のミランダ(愛華みれ)との結婚を決める。ナイジェルはバツイチ。前回の結婚も上手くいかなかったが、今回は相手が庶民出身のハリウッド女優ということで、フェリシティは息子の結婚に乗り気でない。
ナイジェルがミランダを連れて伯爵家に戻って来ようというその日、フェリシティは、20年間もメイドとして働いているモクシー(柴田理恵)から意外な事実を告げられる。ミランダはモクシーの実の妹だというのだ……
高瀬久男の演出は、「やはり」というべきか、かなりオーソドックス。前半は見応えがあったが、後半はスマート過ぎ、あっさりと終わってしまって多少物足りない。後半の鍵を握る、おつむの余り良くない美男美女の単純な言動は、イギリス人にとっては笑いのツボのはずだが、日本人はそうしたことでは笑いにくいので(何しろ「八百屋お七」を悲劇のヒロインとする国である)、ちょっとしたアレンジが必要だったかも知れない。
若尾文子は高齢に加え、夫(黒川紀章)が都知事選に出馬という気苦労もあってか、他の役者とはセリフのスピードが若干異なっていたり、疲れが見えたりするが、長ゼリフをこなすのを見ているとこちらも嬉しくなる。
柴田理恵は登場するだけで観客の笑いを取っていた。更にセリフを言い間違えても笑いを取っていた。羨ましい。
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