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2021年2月13日 (土)

コンサートの記(695) 下野竜也指揮 京都市交響楽団 京都ミューズ フォーレ「レクイエム」+林光「木琴協奏曲・夏の雲走る」(日本初演)

2007年7月14日 京都コンサートホールにて

京都コンサートホールへ。台風が接近中であり、たまにどしゃ降りになる。

今日のコンサートは、下野竜也(しもの・たつや)指揮京都市交響楽団(京響)の演奏で、前半はメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」と林光の木琴協奏曲「夏の雲走る」(日本初演)の演奏。木琴独奏は通崎睦美(つうざき・むつみ)。
後半は、京都ミューズ・フォーレ・レクイエム合唱団を加えて、フォーレの「レクイエム」が演奏される。ソプラノ独唱:日紫喜恵美(ひしき・えみ)――今日のコンサートは読みにくい苗字の人が多いなあ、他人のことは言えないけれど――、バスバリトン独唱:片桐直樹。

下野竜也は1969年、鹿児島県生まれの若手指揮者。見るからに「薩摩隼人」という風貌の持ち主である。若手としてはオーケストラを鳴らす術に長けており、「フィンガルの洞窟」は迫力がありながら細部までの目配りも怠らない好演であった。

林光は現代の作曲家としては平易な作風を特徴とする。木琴協奏曲はリズミカルでユーモラスな木琴独奏が実に楽しい。通崎睦美も遺漏のない演奏。下野指揮の京響もリズムの良い伴奏を奏でた。
演奏終了後、客席にいた林光がステージに上がり、聴衆からの喝采を浴びる。


京都ミューズ・フォーレ・レクイエム合唱団は、今回の演奏会のために編成されたアマチュア合唱団。京都市民の参加、自主運営で、今年の1月から今日のために練習を積み重ねてきた。総勢は200名を超える、ってそんな大編成だったらプロの合唱団でも声がずれるぞ。
こちらも、技術面は期待していない。それに私は合唱は聞き込んでいないので詳しくもなく、良し悪しがはっきりわかるわけでもない。
やはり声のズレはあったけれど、大編成のアマチュア合唱団にしては良い部類に入るのではないだろうか。

フォーレの「レクイエム」は、私の大好きな曲。台風だろうか何だろうが聞き逃すわけにはいかない。
ちなみに、先月も大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会でフォーレの「レクイエム」は演奏されたのだが、指揮予定の大植英次が突然のめまいにより緊急降板するというハプニングがあった。

下野竜也の指揮はやや速めのテンポを基調とした若々しくも輪郭のクッキリした音楽を作り出す。京響は金管、特にホルンの音色が輝かしい。

ソプラノ独唱の“ピエ・イエス”は、満足するのが非常に難しい曲。オペラ歌手が歌うと(今日のソリストの日紫喜恵美もオペラで活躍している)ドラマティック過ぎて、曲の持つ楚々とした旋律美が壊されてしまう。もっともそう感じるのは、ミシェル・コルボという指揮者がボーイ・ソプラノや、ボーイ・ソプラノに近い声質を持ったソプラノ歌手にソリストを務めさせた名盤が複数存在するからなのだが。
日紫喜恵美も少しドラマティックに過ぎる箇所があったが、曲の雰囲気にはそこそこ合っていたのではないかと思う。

終演後、花束贈呈がある。指揮者の下野竜也が受け取った花束を手にステージ奥へと進み、ポディウム席に陣取っていた女声コーラス陣に花束を投げて渡す。粋なことをやる。

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