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2021年4月18日 (日)

コンサートの記(711) 「cafe mimo Vol.20 ~春爛漫茶会~」大阪公演

2021年4月10日 大阪・西天満のあいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールにて

午後5時から、大阪・西天満(曾根崎といった方が分かりやすいかも知れないが、住所は微妙に異なる)にある、あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールで、遊佐未森のコンサート「cafe mimo Vol.20 ~春爛漫茶会~」を聴く。遊佐未森(ヴォーカル&ピアノ)が、ギターの西海孝とドラムス&パーカッション+打ち込みの楠均とのトリオで行っている毎春恒例のコンサート。昨年もcafe mimo大阪公演は予定されていたのだが、コロナ禍により中止。記念すべき20回目は今回に持ち越しとなっていた。

変異株流行の可能性が高いということで、今日の大阪は最多記録を更新する918人の新規新型コロナ感染者を記録し、コンサートの開催自体が危ぶまれたのだが、なんとか開催にこぎ着けた。密を避けるため、グッズ販売などはあいおいニッセイ同和損保フェニックスビル1階の広いスペースのみで行い、ザ・フェニックスホール内ホワイエなどでは販売などは一切行われない。ザ・フェニックスホールの1階席は平土間であるが、通常なら最前席となる場所に席を置かず、ステージと距離を取る、入場前に大阪独自のコロナ追跡サービスへの登録、手指のアルコール消毒などの感染予防対策が取られた。

JR大阪駅で下車。ホーム上などには人が多いが、通常に比べると少なめ。中央通路なども人出は平時の半分以下である。
梅田地下街などは今日も人が多かったのかも知れないが、用事がないので下りず、大阪駅中央南口から梅田の街に出て、御堂筋を南下する。なんだかんだで人々はコロナ対策を取っているようで、「これが梅田か?」と思うほど人が少ない。この状態で記録が更新されているとすると、局地的にコロナ感染が発生していると考えた方が妥当な気がする。それにしても人の少ない梅田は、木々の緑も鮮やかで、不気味なほどに美しい。

曾根崎ということで「曽根崎心中」ゆかりの露天神(お初天神)に参拝してからすぐ南にあるザ・フェニックスホールに入る。ザ・フェニックスホール到着は午後6時17分頃、今日は午後6時15分開場なので、開場後すぐに到着したことになる。

ザ・フェニックスホールでcafe mimoが行われるのは2回目。前回は、遊佐未森が作詞・作曲を行った国立市立国立第八小学校の校歌を3人で歌い、私はアンケートに「国立市立国立第八小学校の校歌を録音して欲しい」と書いたのだが、希望者が多かったようで、その後、ベストアルバムに同曲は収録された。
前回のザ・フェニックスホールでcafe mimoが行われたのは、2008年のことなので、実に13年ぶりの開催となる。

大阪を代表する室内楽専用ホールであるザ・フェニックスホールであるが、私が前回来たのは、2008年のcafe mimoで、それ以前は来ていないということで、自分でも意外だがクラシックの演奏で来たことはないということになる。室内楽の演奏を聴くこと自体もオーケストラやピアノの演奏会に比べると多くないが、聴く場合も京都市内やびわ湖ホールなど大阪以外の会場が多く、また単独ではなく音楽祭のプログラムの一つとして聴くことも多いため、来場機会がほとんどないということになっているのだと思われる。

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トークで、遊佐未森は、大阪で公演を行うのは昨年の2月以来だという話をする。西海孝は、昨年の12月に公演を行えたが、今年初めの自身がメインのコンサートはコロナ第3波によって中止にせざるを得なかったという。楠均は、2020年は来阪なし。「前代未聞」のことだという。
ポピュラー音楽のバックミュージシャンは、実力のある人が幾つも掛け持ちを行っているため、ギターが西海さんである確率もドラムス&パーカッションが楠さんである確率もかなり高いのだが、2020年はコンサート自体がほとんど行えなかったということが分かる。

その間、未森さんは、ニューアルバムの録音を行っていたそうで、マスタリングがついこの間終わったばかりだそうだ。発売日も6月23日決まったという。


遊佐未森というシンガーソングライターは、「癒やし系」の元祖にして代表格ということで、日本ポピュラー音楽史上、重要な地位を占める音楽家であることは間違いないのだが、シングルが大ヒットするというタイプでもないので、知らない人の方が多いという印象を受ける。「ココア」、「クロ」、「I'm here with you」、「地図を下さい」などをカラオケで歌うこともあるのだが、曲を知っている人に会ったことは今まで一度もない。というわけで知名度と音楽性の高さが一致するわけではないということの好例でもある。
仙台出身であり、東日本大震災から10年ということで、今年は宮城県東松島市に招かれてコンサートを行ったそうで、初日のゲストはコロッケ、2日目のゲストはサンドウィッチマンであったそうだ。未森さん自身も、東松島市には幼い頃に海水浴に行ったり、奥松島と呼ばれるところまで観光に行った思い出があるそうなのだが、 震災によって住宅地が壊滅状態となり、復旧も遅れて、住宅再建まで10年以上掛かっているとのことなので、元々住んでいた人も諦めて、他の場所での再スタートを選ぶケースの方が多いようである。今も家屋がポツンポツンと建っているという寂しい状態だという。

ニューアルバム「潮騒」から2曲(「サイレントムーン」と「鼓動」)が初披露された他、cafe mimoの名物であるカバーのコーナーもあり、今年はヘンリー・マンシーニ作曲で、オードリー・ヘップパーンが唯一、自身の歌声を聞かせている「ムーン・リバー」が歌われた。長調の曲であるが、歌詞が希望と切なさが同居したものということもあり、未森さんの澄んだ歌声で聴くと儚さがより強く出る。
カバーはもう1曲。「これまでのcafe mimoで最も盛り上がった曲」ということで、「ひょっこりひょうたん島」が歌われる。ちなみに振り付けは毎回、未森さんが担当している。

仙台を舞台にした曲としては、「欅~光の射す道で~」が歌われた。また初期の楽曲である「月姫」が歌われたが、ライブで歌うのはこれが初めてになるかも知れないとのことだった。デビュー曲の「瞳水晶」も歌われたが、33年前にデビューした時の話なども語られる。EPICソニーからのデビューだったのだが、当時、EPICが入っていた青山一丁目のツインタワーの向かいのビルの2階にCDショップがあり、デビューの日が4月1日ということで、日付が「疑わしい日」「本当に発売になってるんだろか?」と確認に行った思い出があるそうである。

初期の頃に一緒に仕事をすることが多かった外間隆史と久しぶりに組むことになったのだが、音楽を巡って熱論を戦わせた日々のことなども回想される。

アンコールでは、「春らしい曲を」ということで、「Floria」が歌われたのだが、ザ・フェニックスホールの名物として、アンコール時には、後ろの壁(遮音壁)がせり上がり、ガラス越しに大阪の街が姿を現すという演出が施される。

 

淀屋橋駅から京阪電車に乗って帰る。やはり土曜の夜とは思えないほど車内は空いていた。

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