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2021年5月 3日 (月)

コンサートの記(715) 「ソプラノ 川越塔子リサイタル ~珠玉のオペラアリア集Ⅱ~」

2017年6月4日 上桂の青山音楽記念館バロックザールにて

午後3時から、上桂の青山音楽記念館バロックザールで、「ソプラノ 川越塔子リサイタル ~珠玉のオペラアリア集Ⅱ~」を聴く。

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今日は全席自由である。開場10分後ぐらいに会場に着いたので、後ろの方の席は埋まっており、前の方の席は空いていたので、前から3列目に座る。前列にも前々列にも誰もいない。

 

川越塔子は、私と同じ1974年生まれのソプラノ歌手。宮崎市出身。東京大学法学部卒業後、武蔵野音楽大学大学院声楽専攻を修了という異色の系列を持つ。藤原歌劇団所属。昭和音楽大学では声楽の講師も務めている。京都芸術劇場春秋座で毎年行われている「春秋座オペラ」の常連であり、これまで、「夕鶴」、「ラ・ボエーム」、「蝶々夫人」、「椿姫」、「セビリアの理髪師」で主演を務めている。私はそのうち、「ラ・ボエーム」、「蝶々夫人」、「椿姫」を観ているが、川越はいずれも薄幸な雰囲気を上手く出していた。ただ薄幸な役だけしか出来ないというわけでもないはずなので、リサイタルを聴きに来たのである。
ちなみに、春秋座で「都をどり」を見た時に、チケットオフィスのそばに川越の今日のリサイタルのチラシが置かれていたため公演の存在を知ったのであり、そうでなければ知らないままだったということになる。

ピアノ伴奏は細川智美(二期会ピアニスト)が務める。

 

曲目は、第1部が、グノーの「ロメオとジュリエット」より“夢に生きたい”、オッフェンバッハ(オッフェンバック)の「ホフマン物語」より“オランピアの唄”、マスネの「マノン」より“ガヴォット”、マスネの「エロディアード」より“甘く優しく”、細川智美のピアノソロでプーランクの即興曲第15番「エディット・ピアノを讃えて」、プーランクの「ティレジアスの乳房」より“いいえ旦那様”。
第2部が、團伊玖磨の「夕鶴」より“あたしのだいじな与ひょう”、プッチーニの「蝶々夫人」より“ある晴れた日に”、プッチーニの「蝶々夫人」より“可愛い坊や”、細川智美のピアノソロでドビュッシーの「月の光」、クルト・ワイルの「ヴィーナスの口吻」より“愚かなハート”、メノッティの「泥棒とオールドミス」より“私を盗んで”、レナード・バーンスタインの「キャンディード」より“きらびやかに着飾って”。

仏、日、伊、米というバラエティ豊かな選曲である。またプーランクやクルト・ワイル、メノッティ、レナード・バーンスタインといった「知名度はそこそこあるが作品はそれほど知られていない作曲家」の作品を選んでいるのも興味深い。

 

細川智美とともに純白のドレスで登場した川越塔子であるが、細川のピアノソロの間に着替えて、赤のコルセット風トップスに黒のミニスカートでプーランクを歌い、第2部では紫の着物姿で團伊玖磨の「夕鶴」にプッチーニの「蝶々夫人」という日本ゆかりの曲を歌い、最後は「月の光」独奏の間に薄萌葱のドレスに着替えて残りのプログラムを歌った。舞台監督さんに「こんなに着替える人、初めてです」と言われたそうである。

マイクを手にトークを挟みながらの歌唱。話もウイットに富んで面白いし、プラカードを使って笑いを誘ったり、“オランピア(オランピアは機械仕掛けの人形である)の唄”ではオペラ本番さながらに動きを止めたりギクシャク動いたりと、とにかく聴き手を楽しませるエンターテインメント性豊かな歌手である。

歌声も安定しており、とかく「お堅い」とされるクラシック音楽界にあって、楽しませることを考えた面白いコンサートであった。

 

アンコールは3曲。プッチーニの「トスカ」より“歌に生き恋に生き”、ドリーブの「カディスの娘たち」ではカスタネットを叩きながらの歌唱、3曲目は中島みゆきの「糸」であった。

カスタネットを叩きながら歌う練習をしているとのことだったが、「カルメン」をやる予定があるのだろか? ちなみに今年の春秋座オペラでは「魔笛」の夜の女王を歌うことが決まっている。

「糸」を歌う前には、川越は「皆さんと一緒に歌いたい」と述べたため、あるいは聴衆の人達にも歌って貰いたかったのかも知れないが、京都人はノリは良くないので、歌う人はいなかった。大阪人はノリが良いので参加してくれる人がいたりするのだけれど。私は前の方の席だったので、口パクだけはした。中島みゆきの「糸」は自分からカラオケで歌うことはないのだが、人に頼まれて歌うことはたまにある。

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