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2021年5月22日 (土)

フジテレビオンデマンド「警部補・古畑任三郎」(古畑任三郎第1シーズン)第5回「汚れた王将」

2021年5月19日

田村正和逝去ということで、フジテレビオンデマンドで「警部補・古畑任三郎」第5回「汚れた王将」を見てみる。1994年の放送。デジタル収録だと思われるが、四半世紀以上も前の作品ということで映像は大分古い印象を受ける。犯人役は5代目坂東八十助、後の10代目坂東三津五郎である。三津五郎も2015年に59歳の若さで亡くなっている。

「将棋の街」山形県天童市で行われている将棋の竜王戦を背景にした殺人事件であるが、トリックとなる将棋の「封じ手」は実際には「古畑任三郎」で描かれているものとは大きく異なるそうで、かなりフィクション性が強い回であった。ストーリー展開や設定も今から振り返ると少し妙な部分があるのは確かである。

「古畑任三郎」シリーズは、三谷幸喜の構想では最初から「古畑任三郎」というタイトルで行くつもりだったようだが、「『古畑任三郎』だけだとなんだか分からない」という声が関係者からあったため、第1シーズンだけ「警部補」という階級をタイトルに入れている。階級が警部補なのは、日本の場合、警部になってしまうと現場に真っ先に到着ということがほとんどなくなるためだと思われる。刑事ドラマで、警部補階級の人が主人公に多いのもそうした理由によるものだろう。

「古畑任三郎」シリーズは、ピーター・フォーク主演の「刑事コロンボ」の日本版であるが、倒叙ミステリーの仕組みを利用して、どちらかというと犯人像、特にその悲哀を丹念に描くことに力を入れているように見える。全員が「太陽がいっぱい」のリプリーのようでもある。
三谷幸喜はたまにそれとなく本音をセリフに潜ませる人なのであるが、この回で古畑が語る「何も知らない連中は平気でそういうことを言うんです」というセリフは三谷の本音なのではないだろうか。

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