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2021年5月 6日 (木)

コンサートの記(716) 川瀬賢太郎指揮名古屋フィルハーモニー交響楽団第446回定期演奏会「サンクトペテルブルク/ロシア革命100年」

2017年6月2日 名古屋・栄の愛知県芸術劇場コンサートホールにて

午後6時45分から、愛知県芸術劇場コンサートホールで、名古屋フィルハーモニー交響楽団の第446回定期演奏会を聴く。今日の指揮は名古屋フィルハーモニー交響楽団指揮者の川瀬賢太郎。

「サンクトペテルブルク/ロシア革命100年」と題されたコンサートで、曲目は、吉松隆の「鳥は静かに...」、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:ノア・ベンディックス=バルグリー)、ショスタコーヴィチの交響曲第12番「1917年」

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者としても活躍する川瀬賢太郎。1984年生まれであり、主要な日本人指揮者の中では最年少である(2017年当時)。私立八王子高校音楽科を卒業後、広上淳一に師事するために東京音楽大学指揮科に進学。広上の東京音大における一番弟子的存在でもある。

吉松隆の「鳥は静かに...」。1998年に藤岡幸夫指揮マンチェスター・カメラータによって初演された作品である。この作品は最小編成では弦楽12名、最大編成では弦楽37名によって演奏されるよう指定されているが、今回は最大編成が採用されている。
吉松らしい繊細な曲であるが、ミニマルの要素を取り入れており、内容はわかりやすい。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリンソロのノア・ベンディックス=バルグリー(男性)は、2009年のエリザベート王妃国際コンクール・ヴァイオリン部門でファイナリストに入り、2014年にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターに就任している。
とにかく美音家である。歌い回しなどにも個性があるが、音の美しさが何より印象的だ。
名古屋フィルであるが、弦楽は「渋い」といえば聞こえはいいが、東京や関西のオーケストラに比べると音の輝きが十分に出ていないように思う。
木管は音の通りも良く、堅調。金管はトランペットが第1楽章では不安的であった。

ベンディックス=バルグリーのアンコール演奏は、J・S・バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタより“ラルゴ”。これも美演であった。

ショスタコーヴィチの交響曲第12番「1917年」。今日はこれを聴くために名古屋に来たのである。
21世紀に入ってからショスタコーヴィチの交響曲がオーケストラコンサートのプログラムに載ることが増えたが、交響曲第12番「1917年」は、「駄作」という評価もあり、プログラムに載ることはまだ少ない。
今年(2017年)2月に井上道義指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の第505回定期演奏会で同曲が取り上げられ、ちょっとした仮説が浮かんだのでそれを確認する意味もある。

第1楽章冒頭の暗く力強い響きと旋律に続き、ブラームスの交響曲第1番第4楽章の凱歌や、第九の「歓喜の歌」のパロディーのような旋律が現れる。この旋律は全楽章を通して登場するのだが、このメロディーだけ場違いなほど砕けた印象を受ける。やはりこの妙なメロディーがこの曲を読み解く鍵だと思われる。
ただ、川瀬自身はそうした解釈は行っていないようで、皮相にすることなく音を運ぶ。
川瀬の指揮は若さを生かした勢いのあるもので、ジャンプも飛び出すなどダイナミックである。
名古屋フィルはこの曲では音の煌めき十分の演奏を行った。弦も管も安定している。
ただ、ショスタコーヴィチの交響曲第12番を演奏するには愛知県芸術劇場コンサートホールは空間が狭いようで、フォルテシモで音が飽和するところもあった。

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