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2021年7月13日 (火)

NHK教育テレビ(現・Eテレ) 「思い出の名演奏」 カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団来日公演1975@NHKホール ブラームス 交響曲第1番ほか

2011年2月5日

NHK教育テレビ「思い出の名演奏」で、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演の映像を観る。1975年、NHKホールでの収録。NHKホールは1973年の竣工なのでまだ出来たばかりだ。

メインはブラームスの交響曲第1番。最近の演奏に比べると音が分厚く、ウィーン・フィル独特の弦の音色が美しい。ベームはどうも弦楽主体に音楽を組み立てるタイプのようだ(その点で、クレンペラーなどとは好対照)。

ベートーヴェンの交響曲第4番のリハーサルの模様なども流されるが、大変厳格である。口調も厳しい。ベームは性格的にはウィーン・フィルのメンバーからは嫌われていたようで(特に新人いじめが酷かったらしい)、あるウィーン・フィル奏者の回想を読んだことがあるが、「ベームは性格は悪いんだけど、腕がいいから尊敬する」といったようなことを語っていた記憶がある。多分カメラが入っていなかったらもっと辛辣なことを言っていたかも知れない。
グラーツ生まれのベームは、生涯、グラーツを愛したようで、それまでいじめていた新人奏者がグラーツ生まれだとわかった途端に優しい態度をとったという。

ベームのインタビューも放送されたが興味深いものだった。ショルティもそうだったが、ベームも日本の聴衆を褒めちぎっている。

ヨハン・シュトラウスⅡ世の「美しく青きドナウ」も演奏される。きっちりとした演奏で、名演とされる歴代の「美しく青きドナウ」に比べるとお堅い感じだが、音は美しいし、立派であり、また、ベームがこうした曲を演奏するというのは微笑ましくもある。

この頃のベームは日本では神様扱い。演奏終了後、聴衆が熱狂してステージそばに押し寄せ、ベームに花束を贈ったり握手を求めたりし、ベームがそれに応える光景が映っている。実はこの時、舞台袖に指揮者の岩城宏之がいて、「ああいう熱狂的な聴衆は実は本当のクラシック好きではないから」と、ステージから身を乗り出す高齢のベームに相手にしないよう忠告したが、ベームは「私はこれまでの生涯でこれほど熱烈な歓迎を受けたことはない。もし仮にステージから落ちたとしても本望だ」として聞き入れなかったという。

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