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2021年8月12日 (木)

コンサートの記(737) 下野竜也指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第451回定期演奏会

2011年9月21日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

午後7時から、ザ・シンフォニーホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第451回定期演奏会を聴く。指揮は日本人指揮者若手ナンバーワンの呼び声も高い下野竜也。

曲目は、J・S・バッハ=ベリオ編曲「フーガの技法」よりコントラプンクトゥスX IX、ボッケリーニ=ベリオ編曲「マドリードの夜の帰営のラッパ」の4つの版、ブルックナーの交響曲第2番(1872年/キャラガン版)。なお、バッハとボッケリーニの曲をベリオが編曲した2曲は下野の意向により、休憩なしで演奏される。

下野の指揮であるが、曲目がメジャーでないためか、台風の影響か、客席は満員にはならなかった。

全曲、アメリカ式の現代配置での演奏である。

バロックの作品をイタリアの現代の作曲家、ルチアーノ・ベリオ(1925-2003)が編曲した2曲。バッハの遺作「フーガの技法」を取り入れた曲(コントラプンクトゥスとは対位法の複数形)は照明を絞って、ヴィオラとチェロによる開始。音色は渋く、旋律は哀感に溢れている。やがて管とヴァイオリンが加わり、バッハらしい深い音楽が展開される。ハープが「BACH(シ♭・ラ・ド・シ)」の主題を奏で、それが変奏されていく。不協和音の響きが流れ、バッハの死が暗示される。

ボッケリーニの時は照明も曲も一転して明るくなる。行進曲風に始まる、親しみやすい旋律が流れる楽しい曲だ。トランペットとトロンボーンがミュートを付けてユーモラスな音を吹いた後で、ミュートを取って、同じ旋律を吹くと堂々とした凱歌に変わる。下野と大フィルは煌びやかな音で旋律を奏で、リズム感も良く、好演となった。


メインであるブルックナーの交響曲第2番。第1楽章のヴァイオリンの刻み、チェロの歌う主旋律ともに鮮明である。全体的に速めのテンポが採用され、若々しいブルックナーになった。ただ、第1楽章では必要以上にドラマティックになったりする場面もある。

大フィルはブルックナーを演奏する時には、良く言うと澄んだ、悪く言うと無機質な音を出す。非常に明快な演奏だが、ブルックナーはもっとモヤモヤしていてもいいから温かい響きで聴きたいという気もする。

第4楽章も音の動きはよくわかるが、緩やかな場面では、下野ならもっと歌えるはずだ、とも思う。

若い指揮者によるブルックナーの初期交響曲の演奏としては十分高い水準の演奏だったと思うが、この曲の演奏には優れた録音がいくつもあり、また前半の出来に比べると下野と曲との相性が若干落ちるかなという気はする。

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