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2021年8月25日 (水)

これまでに観た映画より(267) 「シコふんじゃった。」2021.8.21

2021年8月21日

録画してまだ観ていなかった映画「シコふんじゃった。」を観る。周防正行監督作品。出演:本木雅弘、清水美砂(現・清水美沙)、竹中直人、田口浩正、宝井誠明、ロバート・ホフマン、六平直政、片岡五郎、梅本律子、柄本明ほか。1991年の制作。観るのはこれが5回目か6回目になる。千葉にいた頃はセルビデオ(VHS)を持っていたのだが、今は実家にも存在していないと思う

周防正行監督の母校である立教大学をモデルとした教立大学相撲部を描いたスポ根コメディ。立教大学と教立大学の関係からも分かる通り、かなり徹底してひっくり返した名称が用いられており、ライバル校も北東学院大学(東北学院大学)、応慶大学(慶應義塾大学)、本日医科大学(日本医科大学)、波筑大学(筑波大学)、衛防大学(防衛大学校)など全て転倒させた校名である。二部三部入れ替え戦の相手だけが例外で、大東亜大学という受験用語の大東亜帝国(大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学。大東は大東文化大学から二文字という説と、大東文化大学と東海大学の2校という説がある。文学部以外は偏差値が低めである國學院大學を国士舘大学の代わりに入れることもごく稀にだがあるようだ)から取った大東亜大学という右派硬派の大学という設定である。東日本学生相撲リーグの三部に防衛大学校をモデルにした学校がいるというのは不思議で、小説版(山本秋平による一人称小説である)にも、「国を守らなきゃいけないのに、なんでお前ら三部にいるんだ?」というような記述があったはずだが、実際に防衛大学校の相撲部は強くないようで、基本的に三部が主戦場のようだ。なお、この映画が公開されてから4年後の1996年から数年だけ四部リーグが存在したようである。

役名もイージーに決められており、本日医科大学相撲部の学生役で、後に有名になる手塚とおると戸田昌宏が出ているが、それぞれ「足塚」、漢字を逆にして少しアレンジした「田所」という役名である。

また本木雅弘、清水美砂、宝井誠明、柄本明の役名は、「山本秋平」、「川村夏子」、「山本春雄」、「穴山冬吉」で、春夏秋冬が割り振られている。実は、周防正行監督はチェーホフが好きで、早稲田大学第一文学部のロシア文学専攻を第一志望としていたのだが、浪人中もアルバイトをしていたりして熱心に勉強に打ち込んだわけでもないということで二浪しても無理で、フランス文学も好きだったということで立教大学文学部フランス文学科で妥協している。そしてその名残が「シコふんじゃった。」でも現れていて、春夏秋冬の名の4人+間宮正子(梅本律子)の間には、チェーホフの「かもめ」に用いられていることで有名な「片思いの連鎖」が発生している。周防正行監督というと、小津安二郎へのオマージュで有名で、この映画でも登場人物を画面の中央に据えたり、引きのローアングルでシンメトリーの構図を撮ったりしているが、小津一人へのオマージュでないことは確かである。

「シコふんじゃった。」は周防正行監督によるノベライズがあり(細部や結末が異なるため、小説版と書いた方が適当な気がする)、私も18歳の時に夢中になって読んだが、映画版でもセリフに出てくる「辛抱」「我慢」がテーマになっていることが分かる。やる気のない駄目学生で、就職もコネで決め、いい加減に生きようとしていた山本秋平が相撲部での日々を経て生まれ変わるという教養小説的な要素も盛り込まれており、私も若い頃に大いに影響を受けた。おそらくであるが、この映画を18歳の時に観なかったら、そして小説版を読まなかったら、私は今よりずっといい加減な人間になっていただろう。映画にはそれだけの力がある。


これまでに観た映画より(17) 「シコふんじゃった。」

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