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2022年2月 3日 (木)

これまでに観た映画より(276) 京都シネマ ペルー映画祭「わが町の映画館――ペルー映画館の軌跡――」

2022年1月28日 京都シネマにて

京都シネマで、ペルー映画祭「わが町の映画館――ペルー映画館の軌跡――」を観る。2020年製作のドキュメンタリー映画で、今回が日本初公開となる。ワリ・ガルベス監督作品。Blu-rayでの上映である。

かつて日本でも「娯楽の王様」と呼ばれた映画だが、テレビの出現によって大幅後退を余儀なくされている。そのテレビも今は落ち目で、ネットが主役になりつつあるが、ネットの場合は個人で楽しむことが多いため、娯楽の在り方が変わってきている。

ペルーでも状況は同じで、1970年代までは映画が庶民の娯楽であった。ペルーは日本ほど識字率が高くないため、読み書きが出来ない人も多く、そうした人々に映画が受け容れられたということもある。だが、80年代も半ばを過ぎると状況は一変、テレビの多チャンネル化と大画面化が映画館の強力なライバルとなり、更にテロリストの台頭、アラン・ガルシア大統領の経済的失政などが重なって、人々は映画館に通う余裕をなくしていく。更に90年代後半になるとシネマコンプレックスがペルーでも増え、人々は従来の映画館ではなく、綺麗なシネコンへと通うようになってしまう。21世紀に入ってからは、DVDやBlu-rayの登場、更にスマホで映画が観られるようになり、古くからある映画館は次々と閉鎖されていく。

映画はまず、ペルー国内の趣のある映画館の外観を次々に紹介していく。その後、映画館で働いていた人々が出てきて、映画に関する思い出を語る。買い付け人、プロデューサー、映写係、看板描き、切符係などが登場する。今は映画はデジタル方式でスクリーンに映るため、昔からの映写係はペルーでも活躍の場は限られていると思われる。
映画館から客足が遠のいて以降、なんとか客を呼ぶため、従来の映画館では成人映画が上映されるようになったのだが、未成年が付け髭などをして変装して入ろうとするため、主に彼らを追い出す役目を担った切符係のおばちゃんもいたようである。

ペルーでは、上映時間が1時間30分から40分の国産作品が主流だったが、それを変えたのがインド映画だそうで、3時間程の上映時間を持つインド映画に人々は熱狂。インド映画が一番人気になっていたようである。音楽が良いというのでメキシコ映画も人気があったそうだ。
世界的な名画も当然ながら上映されており、「エクソシスト」はペルーの映画界に大きな衝撃を与えたようである。

ペルーでも娯楽の王座から退いた映画であるが、なんとか客を取り戻そうと、ラジオを使って宣伝する試みもカメラは捉えているのだが、この「わが町の映画館」が紹介される場面があり、ちょっとした入れ子構造になっているのが面白い。

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