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2022年3月20日 (日)

柳月堂にて(3) ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)ほか

2022年3月2日

出町柳の名曲喫茶・柳月堂で、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏によるムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編曲)を聴く。

ラストが「キエフの大門」という曲で終わる「展覧会の絵」。ロシアがウクライナに侵攻している最中であり、他の誰かがリクエストしているかどうか気になったので、他に客はいなかったということもあり、リクエストノートを少し振り返って見たのだが、リクエストしている人はいないようであった。

史上最も完璧なアンサンブルの一つとして知られるジョージ・セル指揮のクリーヴランド管弦楽団。今もアメリカのビッグ5(ニューヨーク・フィルハーモニック、ボストン交響楽団、シカゴ交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団)というSクラスの楽団の1つとして知られている。

楽曲の隅々にまで光を当てたような明確にして明晰な演奏であり、取りようによっては影に乏しいのがマイナスとなるが、ラヴェル寄りのオーケストレーションの煌めきを味わう演奏として、今も高い評価を受けそうである。

ビッグ5の最盛期のコンビを上げていくと、ニューヨーク・フィルハーモニックはレナード・バーンスタイン、ボストン交響楽団はセルゲイ・クーセヴィツキー、シカゴ交響楽団はゲオルグ・ショルティ、フィラデルフィア管弦楽団はユージン・オーマンディ、クリーヴランド管弦楽団はジョージ・セルとなるだろう。いずれも20世紀のコンビであるが、当時と今とでは指揮者と楽団の関係が異なるため、今後もこれらの時代を上回るコンビは出て来ないかも知れない。

ラファエル・クーベリック指揮シカゴ交響楽団によるスメタナの「モルダウ」を経た後で、次の人がリクエストしたユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏によるドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」が流れる。この演奏は人気で、以前にも1回聴いたことがある。
今でこそ大人気というわけではないユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団の演奏であるが、往時はレナード・バーンスタイン指揮のニューヨーク・フィルハーモニックの演奏よりも人気で、ジョージ・セルとクリーヴランド管はそのあおりを食って、バーンスタインやオーマンディが録音していたCBSではなく、その傘下のエピックレーベルとしか契約出来なかった。エピックの録音技術はCBSよりも劣り、そのため最晩年にEMIに移籍したセルは、EMIの音質に満足していたという。

ユージン・オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団による「新世界」であるが、万人向けの仕上がりである。超名演ではないかも知れないが、この演奏に物足りなさを感じる人は余りいないだろう。

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