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2022年3月30日 (水)

これまでに観た映画より(289) アッバス・キアロスタミ監督作品「友だちのうちはどこ?」

2022年3月24日 出町座にて

出町座で、アッバス・キアロスタミ監督作品の映画祭「そしてキアロスタミはつづく」より、「友だちのうちはどこ?」を観る。1987年の製作。キアロスタミの出世作となった作品である。出演は、パパク・アハマッドプール、アハマッド・アハマッドプール、ホダパフシャ・デファイ、イラン・オタリほか。素人を俳優に起用し、セットを使わずオールロケによる映画作りを行っている。

イラン北部の小さな村にある小学校。小学2年生のモハマッド=レザが3回も宿題の提出を怠ったため、教師は「今度やったら退学だ」と告げる。モハマッド=レザの隣の席に座る友人のアハマッドは、帰宅後、間違えてモハマッド=レザのノートも一緒に持って帰ってしまったことに気付く。ノートを返しに行こうとするが、母親は「早く宿題を済ませなさい。外出はそれから」と告げる。イラクの風習なのか、それとも地方の村だからなのか、大人の子供に対する躾が厳しい。アハマッドの祖父は、「何も悪いことをしなくても4日に1度は子供を殴るべき」と主張している。

大昔には全世界的に子供という観念は存在せず、子供という言葉はあったが、それは子供という形態よりも「未熟な大人」という状態を指しており、そのため子供であっても働く必要があった。学校制度が出来てからは子供は学校に通うようになったが、この映画でも農業や家事など、様々な仕事を子供が請け負っていることが分かる。子供に関する考え方が、現代日本とは違っている。

そんな制約だらけの中で、アハマッド少年は初の冒険を試みる。母親の目を盗んで飛び出し、モハマッド=レザの家に向かうのだ。だが、モハマッド=レザの家はなかなか見つからず、アハマッドは見知らぬ場所で様々な大人や少年と触れ合うことになる。

大事件が起こる訳ではないが、子供にとってはその人生における重要な一歩となる場面を描き出している。ペルシャ語についての巧拙は私は全く分からないが、生き生きとした表情の出演者達は、みな魅力的である。拡大されたとある子供の一日。ノスタルジアに浸るのも良いかも知れない。

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