これまでに観た映画より(299) 「四月は君の嘘」
2022年6月15日
録画してまだ観ていなかった日本映画「四月は君の嘘」を観る。新川直司原作の漫画の実写化。新城毅彦監督作品。脚本:龍井由佳里。出演は、広瀬すず、山﨑賢人、石井杏奈、中川大志、板谷由夏、本田博太郎、甲本雅裕、檀れいほか。2016年の制作。
天才少年ピアニストとして将来を期待されながら、母の死をきっかけにピアノから離れてしまった有馬公正(山﨑賢人)と、有馬と同じ高校の同学年で、奔放なヴァイオリンを奏でる宮園かをり(今ならあだ名が「みやぞん」になりそうだが、2016年の時点では、みやぞんはまだ有名人ではないので、「かを」というあだ名で呼ばれている。演じるのは広瀬すず)、公正の幼なじみである澤部椿(石井杏奈)、公正、椿と共に仲良しグループを構成している渡亮太(中川大志)らを描いた青春音楽ストーリーであるが、一方で、心の病気や闘病を描いたシリアスな作品でもある。
原作では登場人物達は中学生であるが、映画では高校2年生という設定に変わり、舞台も東京都内から鎌倉に移っている。
幼児期にいくつものピアノコンクールで優勝や入賞を果たし、天才少年ピアニストとしてメディアにも取り上げられた有馬公正であるが、ピアノ指導者であった母の早希(檀れい)が病気で余命幾ばくもないという状態になり、「息子にピアニストとして独り立ちして貰うために」厳しいレッスンを課す。ピアノコンクールで優勝したにも関わらず、早希からなじられた公正は、「お母さんなんて死んじゃえばいいんだ!」と激昂。果たしてその夜に早希の命は尽き、そのトラウマから公正はピアノの音が上手く聞き取れなくなってしまい、コンクールに出てもピアノが弾けず、ピアニストになることを諦めていた。
幼なじみの椿はソフトボール部、親友の渡はサッカー部だが、公正は部活には入らず、音楽控え室で音楽を耳コピして譜面に起こし、出版社に渡して小銭を稼ぐというアルバイトを行っている。
そんなある日、公正は椿の同級生である宮園かをりを紹介される。かをりはモテ男である渡の彼女になりたがっており、椿に間を取り持って貰おうとしたのだが、そこに公正も友人Aとして立ち会うことになったのだ。
ヴァイオリニストであるかをりは、譜面にある作曲家の指示を無視して、エモーショナルなヴァイオリンを奏でるタイプで、コンクールの審査員からの評価は高くないが、聴衆受けが良く、聴衆推薦により一次予選(パガニーニの「24のカプリース」より第24番を演奏)を突破。かをりは、二次予選のピアノ伴奏(楽曲は、サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」)を公正に頼む。
既視感のあるストーリーであり、映画としての評価はそれほど高い点数は与えられないと思うが、再び音楽に向き合う公正と、彼を引っ張るかをりの姿は微笑ましく、音楽家としての個性も物語を進める推進力として上手く機能している。
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