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2022年6月18日 (土)

これまでに観た映画より(298) 「はい、泳げません」

2022年6月13日 MOVIX京都にて

MOVIX京都で、日本映画「はい、泳げません」を観る。高橋秀実のエッセイの映画化。脚本・監督:渡辺謙作。出演:長谷川博己、綾瀬はるか、麻生久美子、阿部純子、小林薫、伊佐山ひろ子、広岡由里子、占部房子、上原奈美ほか。主舞台となるのは2015年という設定である。

大河ドラマ「八重の桜」では、夫婦役として出演していた長谷川博己(「八重の桜」では川崎尚之助役)と綾瀬はるか(同じく山本八重役)の主演による、泳げない男が泳げるようになるまでの物語。ということで、大人版「バタアシ金魚」のようなものかと予想していたが、実際は大きく異なるドラマであった。

長谷川博己が演じるのは、大学で哲学を教える小鳥遊雄司(たかなし・ゆうじ)。「小鳥遊」はしばしばメディアで取り上げられるため、今では有名な難読姓となっており、小鳥遊の教え子達も苗字の由来を知っていたりする。
長谷川博己は、大学でも教えていた有名評論家の息子であるため、見た目のそれっぽさを受け継いでおり、大学教員などのインテリ役が様になっている。
小鳥遊は、教え子からの受けも良さそうで、仕事は上手くいっているようであるが、それとは真逆の情けない面がこの映画では主に描かれる。

幼児期におじに漁船から海に投げ込まれたことがトラウマになり、42歳の今に至るまで泳げない小鳥遊。5年前に美弥子(麻生久美子)と離婚している。そんなある日、小鳥遊は、セブンスイミングスクール牧の原(千葉県印西市に実在しているようである)の広告を見かける。広告に写っている薄原静香(うすはら・しずか。演じるのは綾瀬はるか)に惹かれたということもあるのだろうが、小鳥遊はスイミングスクールに申し込んでみる。
水に顔をつけるのも怖いという小鳥遊。静香先生の指導も思いのほか厳しく、根を上げてしばらくスイミングスクールに通わない期間もあった。

スイミングスクールの先生と生徒の恋はよくありそうだが、この映画では、小鳥遊にはすでに奈美恵(阿部純子)という恋人がいる。奈美恵は、シングルマザーであり、普段は美容室で働いているが、収入が十分ではないようで、スーパーのレジ打ちのパートもしている。奈美恵の一人息子は、小鳥遊によくなついている。ということで、この作品の事実上のヒロインは実は奈美恵であり、綾瀬はるか演じる静香先生はあくまで小鳥遊の背中を押す役割である。

小鳥遊は、5年前にも水に関係するトラウマとなる出来事に遭遇している。美弥子との間に出来た一人息子が、川で溺れ死んだのだ。美弥子が悲鳴を上げて、小鳥遊は振り返ったまでの記憶はあるが、そこから先の記憶が途絶えており、気がつくと病院のベッドの上で、何があったのかを5年後の今に至るまで思い出せないでいる。美弥子らの証言によると、流された息子を追って川に入ったが、泳げないので溺れ、流されて石に頭をぶつけて気絶したらしい。スイミングスクールに通うのはそのトラウマと向き合うための手段であった。

静香先生というのも変わった人物で、交通事故に遭ったのがきっかけで街を普通に歩くことが出来なくなり、スイミングスクールにすぐ通える場所に住んでいるが、自宅から職場に向かう間は、おどおどして挙動不審である。彼女にとっては、陸上ではなく水の中こそ、自分が自由に振る舞える場所となっているのだった。

冒頭部分から、演出過剰気味の場面が続くため、今ひとつ作品に入り込めない部分があるが、トラウマ克服という小鳥遊の成長過程を見つめることが見所となっている。
心理描写に関しては、納得のいくところといかないところが半々といった印象。映画に「共感」を求める人には余り向いていない作品かも知れない。

千葉県出身の麻生久美子が、関西弁のみを喋る役で出ているも興味深い。単純に関西弁ネイティブの女優をキャスティングすることも考えられたと思うのだが、色々出来る人にやらせた方が新鮮味も出ていいという考えなのかも知れない。ただ、千葉の人間に関西弁を喋らせるというのは、関西の人間にとってはおそらく面白くないことであろう。

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