コンサートの記(786) Mimori Yusa Concert 2022「京都日和」
2022年7月3日 三条高倉の京都文化博物館別館にて
午後5時30分から、三条高倉の京都文化博物館(正式名称は京都府京都文化博物館。略称は文博〈ぶんぱく〉)別館で、遊佐未森のコンサート「京都日和」を聴く。遊佐未森が京都でライブを行うのは10年ぶりだそうだが、10年前のライブ(於・磔磔)にも私は接している。私と遊佐未森は丁度10歳差なので、前回は今の私と同じ年齢の時に京都でのライブを行ったことになる。
遊佐未森は毎年春に、ギターの西海孝とパーカッションの楠均とのトリオで東京と大阪で「cafe mimo」というライブを行っているが、今回の「京都日和」はギターは西海孝だが、パーカッションの代わりにハープの吉野友加(よしの・ゆか)が参加している。
元祖癒やし系シンガーでもある遊佐未森、浮遊感のある涼やかな歌声は、今の季節に聴くのにも相応しい。
白いドレスで登場した遊佐未森はまず「つゆくさ」と「天使のオルゴオル」の2曲歌った後で、会場である京都文化博物館別館(重要文化財)について、「すごく素敵なホールですね」「昔ここで色々な人が働いていたと思うんですけど、日銀の京都支店だったそうで」と語り、西海孝は知らなかったようで、「え? そうなの?」と驚いていた。遊佐未森は、京都文化博物館別館の前を通ったことは何度もあるそうだが、中に入るのは今日が初めてだそうである。「楽屋として使わせて貰っている部屋も応接室だったところのようで、調度品も全てが素敵」と絶賛であった。
私は初めて演奏を聴くハープ奏者の吉野友加。小学6年生の時にハープを始めたが、そのきっかけが、「ピアノの先生から突然、『お前、ピアノ下手くそだからハープ弾け』と言われた」ことだそうで、折良く近所に小学6年生のハープを習いたい子を探している先生がいたそうである。なぜ小学6年生かというと、中学校1年生から音楽科でハープを専攻する子を出したかったからだそうで、吉野は「(ハープ奏者として成功出来たので)ピアノが下手くそで良かった」と語っていた。
最新アルバム『潮騒』に収録された「ルイーズと黒猫」を歌う前に、背後の元カウンターの仕切りを覆っていた茶色い布が取り払われ、往事の日本銀行京都支店の姿が明らかになる。
「僕の森」を歌う前には、「ずいぶん昔に作った、と言いそうになったんですけど、デビューして間もない頃に作った。私、今、何歳なんだろう?」という話をする。
遊佐未森は独自のファルセットを得意としているが、「僕の森」はそうでないと「こういう曲を作ろう」という発想すら出来ない曲である。
「街角」では「久しぶりに」リコーダーも演奏された。
国立(くにたち)音楽大学出身の遊佐未森。これまでコンサートでクラシックの曲を歌うことはほとんどなかったのだが、今日はヘンデルの歌劇『リナルド』より「私を泣かせてください(Lascia ch'io pianga)」を歌う。導入部のレチタティーヴォ付きの歌唱である。
クラシックの教育を受けていることがはっきりと分かる歌声。本人もクラシックを歌う時にはスイッチが入るそうで、歌い方が変わるので驚かれるそうである。
仙台の常盤木高校音楽科時代には、音楽の先生がとにかく何でも歌わせるという方針だったそうで、それが今の音楽家としての下地になっているようだ。
ピアノに向かって座り、「早いものであと2曲になってしまいました」と語った遊佐未森だが、「あ、間違えた」ということで、残りはあと3曲で、次の曲は弾き語りではなく立って歌う曲であることが分かる。「夏草の線路」が歌われる。
ラスト2曲はアルバム『潮騒』からの曲で、「I still See」と「潮騒」をピアノ弾き語りで歌唱。
「cafe mimo」などでは、アンコール曲演奏の前に、西海孝と楠均がBPB(物販ブラザーズ)として物販の宣伝を行うことが恒例となっており、まず西海孝が現れて「BPB!」と連呼するが、「今回はBPBの兄(楠均)がいないということで、代わりに妹が来ています」と吉野友加を呼んで、ミニトートバックの宣伝などを行う。
その後、未森さんが現れ、アンコールとして「オレンジ」が歌われた。
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