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2022年7月31日 (日)

これまでに観た映画より(304) 「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」

2022年7月23日

録画してまだ観ていなかった日本映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」を観る。監督:錦織良成、製作総指揮:阿部秀司。出演は、中井貴一、本仮屋ユイカ、高島礼子、三浦貴大、橋爪功、佐野史郎、宮崎美子、遠藤憲一、甲本雅裕、石井正則、渡辺哲、緒形幹太、中本賢、奈良岡朋子ほか

大手電機メーカーである京陽電器に勤め、経営企画室長まで出世している筒井肇(中井貴一)。仕事は順調にいっているが、意に染まない仕事もしなければならない。業績不振の工場の閉鎖とリストラ策を任された筒井は、当の工場に出向く。工場長の川平吉樹(遠藤憲一)とは同期入社の間柄であり、今も親友である。川平が納得し、工場の閉鎖がスムーズに決まる。取締役への昇格が決まった筒井は川平に本社勤務に戻るよう勧めるが、「ものづくりが好き」で工場での勤務を選んだ川平から、「本社に行って何を作ればいいんだ?」と返される。

厳格な父親でもある筒井は、一人娘で大学生の倖(本仮屋ユイカ)が就職活動に今ひとつ乗り気でないことに苦言を呈したりもする。当然ながら、このところの親子関係は良くない。
そんな折、郷里の出雲市に住んでいる、筒井の母親・絹代(奈良岡朋子)が倒れ、入院する。多忙ゆえにすぐには出雲に帰ることの出来ない筒井だったが、担当医から絹代の体から悪性の腫瘍が見つかったことを知らされる。
実家にあった電車関係のコレクションを目にした筒井は、子どもの頃の夢がすぐそばを走る一畑電車(実在の電鉄会社。略称及び愛称は「ばたでん」)の運転士になることだったことを倖に語る。妻の由紀子(高島礼子)も出雲の家にやってきた日の夜に、筒井は川平が事故死したという知らせを聞く。工場長を辞めたら自分の好きなことをやると話していた川平の思いを胸に、また息子が真剣に働く姿を母親に見せたいという希望も密かにあった筒井は「やりたいことに一度はチャレンジしてみたい」と本気で一畑電車の運転士を目指し、合格。一緒に合格した若い宮田(三浦貴大)と共に運転士としての日々を送り始める。充実した日々を送る筒井とは対照的にやる気を見せない宮田。実は彼は甲子園でも活躍した、将来を嘱望される投手でプロ入りの話もまとまり欠けていたのだが、肘を故障してやむなく電車の運転士に転じていたのだった。

宍道湖畔の美しい光景の中を走る一畑電車。田舎の電鉄だけに運転士や車掌と乗客の垣根も低く、本体の意味での家族劇でなく街中が家族的な温かさに溢れている上での家庭劇が展開される。
50近くなってから運転士に転向というのは、余りリアルに感じられないが、乗客とこうした関係になり得るのも年の功と田舎ならでは雰囲気の効用だと感じられ、一種の大人の童話として受け入れやすくなっている。

ストーリー以上に強く感じられるのが、監督である錦織良成の故郷・島根県に対する愛情である。一畑電車以外にも宍道湖上で行われる祭りで筒井が西田(中本賢)と謡を行うなど、島根県の風情溢れる光景がとても美しく収められている。

ラストシーン。筒井と由紀子の対面の場である。人によっては青臭く思えるかも知れないが、由紀子の「私達、このまま夫婦でいいんだよね」との問いに、筒井が「当たり前だ」と答えたあとで、「終点まで、ちゃんと乗ってってくれよな」と、「死ぬまで一緒にいてくれ」という意味にも取れる大人の再プロポーズのようなセリフを発したのが素敵であった。

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