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2022年9月12日 (月)

コンサートの記(804) 三ツ橋敬子指揮 京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2022「ザ・フォース・オブ・オーケストラ」第2回「2-ウェイ・ミュージシャンズ」

2022年9月4日 京都コンサートホールにて

午後2時から、京都コンサートホールで、京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2022「ザ・フォース・オブ・オーケストラ」第2回「2-ウェイ・ミュージシャンズ」を聴く。指揮はお馴染みの三ツ橋敬子。ナビゲーターはガレッジセールの二人。


曲目は、レナード・バーンスタインのオーケストラのためのディヴェルティメントと「オン・ザ・タウン」から「3つのダンス・エピソード」、武満徹の「乱」組曲から第4楽章と「海へⅡ」(アルト・フルート、ハープ、弦楽オーケストラのための。フルート独奏:上野博昭、ハープ独奏:松村衣里)、ニーノ・ロータのトロンボーン協奏曲(トロンボーン独奏:岡本哲)、久石譲の「魔女の宅急便」とオーケストラのための「DA・MA・SHI・絵」


バトンテクニックに長けた三ツ橋敬子は、現代音楽を得意としている。なお、今回は三ツ橋が「演奏に専念したい」ということでガレッジセールとの絡みはなし。ガレッジセールの二人が進行を引き受ける。


今日のコンサートマスターは、「組長」こと石田泰尚(やすなお)。泉原隆志は降り番で、フォアシュピーラーに尾﨑平。ドイツ式の現代配置での演奏である。管楽器の首席奏者は、前半はホルンの垣本昌芳を除くほぼ全員が出演。垣本は後半に登場。クラリネット首席の小谷口直子は前半のみの出番となった。


レナード・バーンスタインのオーケストラのためのディヴェルティメント。死後に作曲作品の再評価が進むレナード・バーンスタイン。指揮者の弟子が非常に多く、彼らが頻繁に師であるレナード・バーンスタイン(愛称:レニー)の作品を取り上げるということもあるだろう。三ツ橋もレニーの愛弟子である小澤征爾に師事しており、レニーの孫弟子ということになる。
三ツ橋の指揮する京都市交響楽団であるが、非常に良く鳴る。今日は1階席で聴いたのだが、やはり音楽専用ホールを持つアドバンテージは非常に大きいようである。以前は1階席の鳴りが悪かった京都コンサートホールであるが、京響の成長と、舞台をすり鉢型にする工夫により、「良いオーケストラは良く鳴り、そうでないと良く鳴らない」という素直で演奏家には怖い響きの音響へと変わった。
レニーの多様な作風が窺えるオーケストラのためのディヴェルティメント。三ツ橋による表情の描き分けも巧みであった。

演奏が終わってガレッジセール登場。ゴリは今日は前髪を下ろしている。まず川田広樹が、京響と三ツ橋敬子を紹介。今回のテーマである「2-ウェイ・ミュージシャンズ」の意味が、「クラシック音楽ともう一つ。つまり二刀流」であると明かす。ゴリは、「二刀流と言えば大谷翔平選手」ということで、「ベーブ・ルースの持っていた二桁勝利二桁本塁打の記録を104年ぶりに破った」「今、全国の女子アナ、女性タレントが彼を狙っています。もうすぐ三刀流に」というところで川田に止められていた。

レナード・バーンスタインは、クラシックやミュージカルの優れた作曲家であり、同時に世界最高峰の座をカラヤンと争う大指揮者でもあった。作曲と指揮の二刀流である(同時に名ピアニストにして名教師でもあったが、ややこしくなるので今日は紹介されなかった)。
ゴリは、「バーンスタインも子どもの頃にお父さんとオーケストラを聴きに行き、そこでオーケストラの魅力に目覚めた。だから今日もここに将来のバーンスタインがいるかも知れない。大人になったらどうなるか分かりません。でも吉本興業に来るのは止めましょう」と言って川田に「何でよ」「素敵な会社よ」と突っ込まれていた。ちなみにゴリは、「給料がめちゃくちゃ安い」と語っていた。

「オン・ザ・タウン」は、レニーが最初に作曲したミュージカルで、映画化もされている(邦題は「踊る大紐育」)。「オン・ザ・タウン」はオペラ形式で上演されることもあり、日本でも佐渡裕が半オペラ半ミュージカルというスタイルで上演している。
「3つのダンス・エピソード」は、1945年にレニー自身が編曲したショーピースで、アメリカ的なノリが楽しい曲である。三ツ橋と京響も雰囲気豊かな演奏を繰り広げた。

続く武満徹は、クラシック音楽と映画音楽の二刀流である。がレッジセールの二人にとっては、映画音楽というと、「スター・ウォーズ」、「インディ・ジョーンズ」といったジョン・ウィリアムズの楽曲が印象深いようである。ゴリは、「インディ・ジョーンズ」には多分に影響を受けており、大学受験時に勉強をやる気が起こらず、東京の予備校でダラダラ二浪していて「もう諦めて沖縄帰ろうかな」と思っていたのだが、ある日、予備校の仲間から「何が好きなの」と言われて、「『インディ・ジョーンズ』のような世界が好きでああいうのやりたいんだよね」と答えたところ、「だったら日大藝術学部に映画学科があるからそこ受けてみたら。真田広之とか有名な人が出てるよ」と言われて初めて日芸を知り、途端に勉強にもやる気が出て合格出来たという話をする。
ゴリは、「ロッキー」シリーズも好きなようで、「絶対勝てないよ」と言われたロッキーが頑張っていいところまで行く。「人生何があるか分からないですよ。でも吉本興業に来るのは止めましょう」
ちなみにゴリは、中学生の時に彼女と二人で「ロッキー」シリーズを観に行って、見終わった後、シャドーボクシングをしながら「彼女を守る」というポーズを取っていたが、向こうからヤンキー五人組が来るのを見て、「肩こりの人」に変えたという話をしていた。

黒澤明の映画「乱」は、シェイクスピアの「リア王」を翻案したもので、黒澤の晩年の代表作である。黒澤映画のラッシュフィルムには、あらかじめクラシックの音楽が付けられていて、「これによく似た曲を書いて欲しい」と作曲家に頼むのが常だったようだ。「乱」のフィルムにも、マーラーの「巨人」などの音楽が付けられていたことが窺える。最終的にはこの「乱」で、武満と黒澤は喧嘩別れしてしまうことになるのだが、フィルムミュージック「乱」は今でも武満の代表作として世界中で演奏されている。光と影の明滅するような「タケミツトーン」はこの曲でも発揮されている。
三ツ橋と京響はこの曲の「抑えたドラマティシズム」を巧みに描き出していた。


武満徹の「海へⅡ」(アルト・フルート、ハープ、弦楽オーケストラのための)。
メルヴィルの小説「白鯨」に着想を得た作品で、「夜」「白鯨」「鱈岬」の3部からなる。武満は晩年に、「鯨のような優雅で頑健な肉体を持ち、西も東もない海を泳ぎたい」と語ってたそうだが、武満本人は若くして結核を患うなど、かなり病弱な人であり、65歳という、作曲家としては比較的若い年齢で亡くなっている。

生前、フランスの音楽評論家から、「タケミツは日系フランス人音楽家である」と評された武満徹であるが、この「海へⅡ」を聴くと、武満がドビュッシーなどから受けた影響がよく分かる。
余り関係ないが、「海へⅡ」は、私にとっても重要な作品である。ここでは説明はしないが。


ニーノ・ロータのトロンボーン協奏曲。それほど有名な曲ではないのだが、何故か2ヶ月連続で聴くことになった。先月末に、東大阪文化創造館 Dream House 大ホールで、愛知室内オーケストラの演奏で聴いているが、京都コンサートホールで聴く京響の演奏の方がオーケストラとしての馬力や色彩感に優れている。
ソリストの岡本哲(京響トロンボーン首席奏者)も、余裕を持って旋律を吹いていた。

ゴリは、ニーノ・ロータについて、「『ゴッドファーザー』などの映画音楽を書いた人」と紹介するが、映画の内容を考えて「大人になってから観て下さい」と伝えていた。


映画音楽とクラシック作品の二刀流のもう一人である久石譲。ゴリは、「久石譲は元々はミニマル・ミュージックという音楽を書いていた人」と紹介。エッシャーのだまし絵に着想を得た「DA・MA・SHI・絵」におけるミニマル・ミュージックの手法について説明する。

「魔女の宅急便」の愛らしさ、オーケストラのための「DA・MA・SHI・絵」の爽快さなど、いずれも優れたオーケストラ演奏であった。

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