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2022年9月 6日 (火)

これまでに観た映画より(309) ウォン・カーウァイ4K「花様年華」

2022年9月1日

京都シネマで、ウォン・カーウァイ4K「花様年華」を観る。2000年の作品。脚本・監督・製作:ウォン・カーウァイ(王家衛)、撮影:クリストファー・ドイル(杜可風)&リー・ピンピン。挿入曲「夢二のテーマ」の作曲は梅林茂(沢田研二主演、鈴木清順監督の映画「夢二」より)。出演:トニー・レオン、マギー・チャン、レベッカ・パン、ライ・チン、声の出演:ポーリン・スン&ロイ・チョン。全編に渡って広東語が用いられている。

1962年から1966年までの香港と、シンガポール、カンボジアのアンコールワットなどを舞台に繰り広げられる抑制の効いた官能的な作品である。私は、ロードショー時には目にしていないが、一昨年にアップリンク京都で上映されたものを観ている。その時に書いた感想、更にはそれ以前にDVDで観た時の感想も残って、新たに付け加えることはないかも知れないが、一応、書いておく。

1962年。新聞記者のチャウ・モーワン(トニー・レオン)は、借りようとしていた部屋を先に借りた人がいることを知る。社長秘書を務める既婚のスエン夫人(マギー・チャン)である。しかし、その隣の部屋も空いたというので、その部屋を確保するチャウ。二人は同じ日に引っ越すことになる。屋台に向かう途中で、二人はすれ違うようになり、惹かれていく。だが二人とも既婚者であり、「一線を越えない」ことを誓っていた。一方で、チャウの妻とスエンの夫が不倫関係になっていたが判明する(チャウの妻とスエンの夫は後ろ向きだったりするなどして顔は見えない)……。

シンガポールに渡ったチャウ。チャウはスエンに、「一緒に行ってくれないか」と、「2046」における木村拓哉のようなセリフを話す。

ちなみにチャウが宿泊して、スエン夫人と共に執筆の仕事をしている香港ホテルの部屋のナンバーは「2046」で、この時にすでに「2046」の構想が練られていたのだと思われる。

共に結婚していたが、チャウはシンガポールに渡る際に奥さんと別れたようであり、またスエン夫人が、シンガポールのチャウの部屋に勝手に上がり込む(ウォン・カーウァイ作品のトレードマークのように頻用される場面である)際に、手がクローズアップされるのだが、薬指に指輪がない。ということでシンガポールに来る前にスエン夫人は旦那と別れた可能性が高く、その際に情事があったのだと思われる(映像には何も映っていないがそう考えるのが適当である)。

こうした、本来なら明示することを隠すことで、匂い立つような色香が全編に渡って漂うことになった。けだし名作である。

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