「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」2022
2022年8月31日 七条の京都中央信用金庫旧厚生センターにて
東本願寺の近くにある京都中央信用金庫旧厚生センターで、「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」を聴くのか観るのか、まあ「体験する」と書くのが適当だろうか。とにかく接する。
アンビエントミュージックの提唱者であり、今も第一人者として活躍するブライアン・イーノの個展で、音楽と映像、美術からなる。京都中央信用金庫旧厚生センターの1階から3階までの全てを利用し、4つのスペースを用いて展示は行われる。3階から観ていくのが順路である。
3階の「The Ship」は、タイタニック号の沈没や第一次大戦、そして傲慢さやパラノイアの間を揺れ動き続ける人間をコンセプトとした作品であり、「Whe I was young Soldier」という言葉や、カーテンがはためくような音楽、そして続くポップスのような歌など、多彩な作風による音楽が薄闇の中で流れている。目が慣れるまでに時間が掛かるがそれもまた一興である。
「時効警察」の三日月しずか(麻生久美子)のセリフ、「いいのいいの、ブライアン・イーノ」でもお馴染みの(?)ブライアン・イーノ。私がイーノを知ったのは例によって坂本龍一経由である。1992年に発売された雑誌で坂本龍一の特集が組まれており、教授のインタビューとお薦めのCDが載っていて、その中にブライアン・イーノのCDの紹介記事があった。
ブライアン・イーノのアンビエントミュージックと映像に接するのは初めてではなく、以前も大阪で同様の個展に接しているが、その時はイーノ一人ではなく、複数のアンビエントミュージックのミュージシャンによる合同での個展であった。イーノ一人の個展に接するのは初めてだと思われる。
3階にはもう一つ、「Face to Face」(世界初公開作品で、36000人以上の顔を写真に収め、特殊なソフトウェアを使って一つの顔から別の顔へと少しずつ推移していく様を繰り返すという展示と音楽である。この「Face to Face」は、音楽よりも映像が主役という印象を受けた。
2階には、「Light Boxes」という展示がある。キュビズムのような表現作品(絵画ではないので、そうとしか言い様がない)がLED照明によって徐々に色を変え、それを彩るような音楽が流れる。
メインとなるのは1階の「The Lighthouse」で、この展示だけ「滞在時間30分間」という時間制限がある。ソファーがいくつも置かれ、そのソファーの群れと対峙する形で、時計のように円形に広がった展示作品がある。展示作品は複数の画で構成されており、徐々に移り変わる。音楽も面白く、ここには20分ほど滞在した。
ブライアン・イーノの音楽は細胞の一つひとつに染み込んで、体内で膨張していくような静かな生命力を感じるものである。
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