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2022年10月 2日 (日)

これまでに観た映画より(312) ウォン・カーウァイ4K 「恋する惑星」

2022年9月21日 京都シネマにて

京都シネマで、ウォン・カーウァイ4K「恋する惑星」を観る。1994年の制作、日本では1995年の初夏にロードショー公開され、何度も書いているが、私は今はなき銀座テアトル西友で5回観ており、同一の映画館で何度も観た映画の自己最多記録となっている。それまでは、カンフー映画か「チャイニーズゴーストストーリー」やキョンシーなどのホーラーというイメージだった香港映画のイメージを一作で変えた画期的な作品であった。
その後もBSやDVD、アップリンク京都での上映などを経て、今日でスクリーンで観るのは7回目となって、自己単独2位の記録となった。私の個人記録などはどうでもいい訳であるが。

脚本・監督:ウォン・カーウァイ(王家衛)、撮影監督:クリストファー・ドイル(杜可風)。出演は、トニー・レオン、フェイ・ウォン、ブリジット・リン、金城武、チャウ・カーリン(ヴァレリー・チョウ)ほか。

金城武演じる刑事とブリジット・リン演じる麻薬の運び屋の一瞬の恋と、トニー・レオン演じる警官とフェイ・ウォン演じる軽食店の店員の未来を感じさせる恋の二通りの恋愛が描かれたオムニバス。本来はここに殺し屋とエージェントの恋が加わるはずだったが、2つの話で映画1本分の長さに達したため独立した映画とし、これが「天使の涙」となっている。セリフは広東語ベースだが、金城武のセリフには北京語、広東語、英語、日本語が用いられており、モノローグには北京語が使用されている。

原題は「重慶森林」で、香港で最も治安が悪いとされる重慶マンション(重慶ビルディング)と、村上春樹の小説『ノルウェイの森』に由来するタイトルとなっている。「重慶森林」こと「恋する惑星」は、作り方も村上春樹の『風の歌を聴け』などの影響を受けており、朝にウォン・カーウァイ監督が書いた短い台本を俳優が貰って撮影、ただし順撮りではないので、俳優は今がなんのシーンでどう繋がるのか分からないままであった。村上春樹の『風の歌を聴け』も、断片を書いて後で編集するというスタイルで書かれており、技法も真似た上での「重慶森林」というタイトルなのかも知れない。

金城武の役名の「モウ」については、これまでは「某」由来なのではないかと思ってきたが、今回見直してみて、名乗るシーンがありそこでは北京語で「Wu」と発音しているのが確認出来た。「Wu」というのは「武」という字の北京語の発音であり、金城武のファーストネームを役名として採用したようである。

返還前の混沌とした香港の姿もよく捉えられており、疾走感溢れるクリストファー・ドイルのカメラワークも相まって、極めてパワフルな映像が生まれている。


今回の4Kレストアでは、本来無音の演出が行われていた箇所に音楽が挿入され、またエンドロールが新しくなっている。個人的には無音の演出がなくなったのは残念であった。

Dsc_1439

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