これまでに観た映画より(315) 「追想ジャーニー」
2022年11月21日 京都シネマにて
京都シネマで、日本映画「追想ジャーニー」を観る。谷健二監督作品。出演:藤原大祐、高橋和也、佐津川愛実、真凛、髙石あかり、岡本莉音(りおん)、伊礼姫奈(いれい・ひめな)、赤間麻里子、外山誠二ほか。上映時間60分ちょっとの中編である。
若手俳優が多数出ているため、若い人向けの作品かなとも思ったのだが、実際には中高年の背中を押すような作品であった。
文也(高橋和也)は48歳。アルバイトをしながら売れない俳優をしている。小劇場の舞台には出ているようだが、収入にはならず、駐車監視員(緑のおじさん)として何とか生計を立てている。久しぶりのテレビドラマの仕事があり、セリフはわずかだったが、それを見ていた人から、人を介してとある精神療法を紹介され……。
21世紀生まれの若い俳優達が瑞々しい演技を見せ、佐津川愛実や真凛といった中堅女優も魅力的である。それでありながら主役は高橋和也が演じる48歳の文也(18歳の文也を藤原大祐が演じている)であり、主に氷河期世代に当たる40代後半から50代前半に当たる人々への力強い応援歌が奏でられる。
予告編を観て気になり、観ることにした映画であり、設定からも「ありきたりなものなのかな」と悪い予感もしていたのだが、節目節目(劇中では「分岐点」という言葉が用いられている)でのエピソードも上手く凡庸に陥るのを回避しており、巧さを感じさせる。
「掘り出し物的逸品」と呼んでも大袈裟でないほどの好編であった。
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