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2022年12月 5日 (月)

コンサートの記(818) リオ・クオクマン指揮 京都市交響楽団第673回定期演奏会 フライデー・ナイト・スペシャル

2022年11月18日 京都コンサートホールにて

午後7時30分から、京都コンサートホールで京都市交響楽団の第673回定期演奏会を聴く。今年の4月から金曜土曜の2日間に渡る定期演奏会は、プログラムが双方で少し異なることになり、金曜日の定期は「フライデー・ナイト・スペシャル」として、開演時間が通常より30分遅くなり、休憩なし約1時間のプログラムでの演奏が行われることとなった。チケット料金も当然ながら通常よりも安めである。

今回の指揮者は、マカオ出身のリオ・クオクマン。コンサートマスターは、泉原隆志、フォアシュピーラーに尾﨑平。いつも通りドイツ式の現代配置での演奏である。

今日の曲目は、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」(リオ・クオクマンによるピアノ弾き振り)、リヒャルト・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」組曲、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」。明日はプログラムから「ラプソディ・イン・ブルー」が抜け、代わりにプッチーニの歌劇「マノン・レスコー」から第3幕への間奏曲と大曲であるレスピーギの交響詩「ローマの松」が加わる。

客の入りは今ひとつ。やはり安い席はそれなりに埋まるが、料金が高めの席(京響は公立のオーケストラということもあって、S席でも5500円と比較的安めであるが)は空席が目立つ。


リオ・クオクマンは、香港とアメリカで音楽を学び、2014年のスヴェトラーノフ国際指揮者コンクールで最高位を獲得。2016年までフィラデルフィア管弦楽団でヤニック・ネゼ=セガンの副指揮者を務めた。現在は、香港フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めている。


プレトークでリオは、「コロナが流行する前の最後のコンサートが京都コンサートホールでの京響定期だった」ということで、「また素晴らしいホールで素晴らしいオーケストラと共演出来るのを嬉しく思う」と語った。

管楽器の首席であるが、フルートの上野博昭はガーシュウィンのみ、クラリネットの小谷口直子はリヒャルト・シュトラウスのみの出番。トランペットのハラルド・ナエスは「ばらの騎士」のみ板に乗らなかった。


ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」。リオのピアノは正統派。端正の中に遊び心が時折顔をのぞかせる。
京響は音色こそ先週のボストン交響楽団に比べれば地味であるが、スケールが大きく迫力のある伴奏を聴かせる。日本のオーケストラらしい表情の細やかさも印象的である。


リヒャルト・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」組曲。リヒャルト・シュトラウス好みの可憐で華やかな音の絵巻が展開される。京響の音色も冴えており、洗練されている。音の絵巻と書いたが、指揮者が若いということもあり、音とデジタル画像のコラボレーションのような印象も受ける。若い音楽家は感性もデジタルな人が多く、今後、多くの楽曲のイメージが大きく変革していく可能性は高いと思われる。


ラヴェルの「ラ・ヴァルス」。語り上手な演奏である。ラヴェルがこの曲に託した筋書きのようなものが巧みに音に変えられていく。
リオの指揮も冴えまくっており、京響の音色も日本のオーケストラとしては色彩豊かで、リオと築くオーケストラドライブに爽快感を覚える。


カーチュン・ウォンもそうだが、リオ・クオクマンも才気煥発というタイプ。日本も含めて近年のアジアの指揮者にはこうした才人タイプが多く、今後が楽しみである。

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