これまでに観た映画より(322)「風よ あらしよ 劇場版」
2024年2月19日 京都シネマにて
京都シネマで、日本映画「風よ あらしよ 劇場版」を観る。甘粕事件によって28歳で散った伊藤野枝を主人公とした作品。2022年にNHKBSで放送され、今回劇場版が上映される運びとなった。原作:村山由佳、脚本:矢島弘一、演出:柳川強。音楽:梶浦由記。出演:吉高由里子、永山瑛太、稲垣吾郎、松下奈緒、美波、山田真歩、音尾琢真、玉置玲央、石橋蓮司ほか。
「青鞜」後期の編集者として、また無政府主義者・大杉栄との関係で知られる伊藤野枝の生涯に迫る作品である。
東京の上野高等女学校に通う伊藤ノヱ(後のペンネーム・伊藤野枝。演じるのは吉高由里子)は、生まれ故郷の福岡で無理矢理結婚させられそうになる。「家にあっては父に従い、嫁しては夫に従い、夫が死んだ後は子に従う」という男尊女卑の文化が当たり前であった大正時代にあって伊藤野枝はそれに反発。上野高等女学校の教師だった辻潤(稲垣吾郎)に文才を見出され、平塚らいてうの主宰する青鞜社に就職し、女性の地位向上を唱えるが、青鞜社が傾くようになり、平塚らいてうから雑誌「青鞜」を受け継ぎ、編集をこなすが、結果的には「青鞜」は廃刊になってしまう。一方、辻と結婚した野枝であるが、辻は自堕落な生活を送るようになる。そんな中、野枝は無政府主義者の大杉栄(永山瑛太)と出会い……。
伊藤野枝という人が極めて行動的で積極的な人柄であることが分かるような描き方がなされている。率先して「青鞜」を受け継ぎ、憧れの存在であった辻潤や大杉栄とも対等に渡り合う。
大河ドラマ「光る君へ」に紫式部役で主演している吉高由里子。彼女の個性である甘ったるい声はやはり気になるが、不自由な時代を全力で駆け抜ける勇ましさが出ていた。永山瑛太の存在感、アンニュイな男を演じさせたらピカイチの稲垣吾郎の魅力も十分に発揮されていたように思う。
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